小十郎への相談を終えた彰子の許へ、ひょっこりと顔を出したのは幸村のオカンこと佐助だった。甲奥越同盟の為に様々な連絡事項もあり、佐助は未だ奥州に留まっていたのだ。とはいってもずっと奥州にいるわけではなく、政宗の書簡を持って甲斐へ戻ったり、信玄の書簡を持って越後経由で奥州へ来たりとかなり忙しかったのだが。
仮にも真田忍隊の長である佐助がそんな使いっ走りをしなくても良さそうなものだが、各領主及び側近と顔見知りの佐助のほうが話が早いと彼が動くことになったのだ。けれど、理由はそれだけではない。要は彰子の存在だ。彼女のことが心配だったのだ。奥州で巧くやっていけるのか如何か。そしてそれは弟となった幸村の意向でもあった。
「彰子ちゃん、ちょっといい?」
顔を覗かせた佐助に彰子は驚いた顔をする。姿を見せなかったから、てっきり甲斐に帰ったものだとばかり思っていた。挨拶もなしに帰ってしまうなんて寂しいじゃないかと、少しばかり拗ねていた彰子である。
「佐助さん、まだいたんだ」
「ちょっと……彰子ちゃん、それ非道いよ」
がっくりと肩を落として佐助は項垂れる。
「ごめんごめん、姿見ないから帰ったんだとばかり……」
「大将と彰子ちゃんの旦那に扱き使われてたの!」
はぁと盛大な溜息をつき、気を取り直すように軽く頭を振ると、佐助は彰子に向き直った。
「でもまぁ、お役目も大体終わったんでね。明日帰ることになったんだ。それで一応ご挨拶」
「そっか。帰っちゃうんだね」
とっくに帰ったと思っていたのに、明日帰ると言われれば急に寂しくなる。
「今まで本当にありがとう、佐助さん」
「うん、どういたしまして。でもそれ以上は言わないでね。湿っぽいのはキライだからさ」
佐助は肩を竦めて応じる。
「彰子ちゃん、アンタがこの世界にいる間は、上田が里だからね。何かあったら遠慮せずに頼るんだよ。我慢せずにね」
急に真面目な顔になって言う佐助に彰子は目を丸くする。上田での自分を一番見ていたのは佐助だから、心配しているのだろう。
佐助はこの10日ほどの間に彰子を取り巻く奥州の人々を観察していた。上田城ほどではないにしても、ここでも彰子は概ね好意的に受け容れられている。しかし、全てがそうなわけではない。明確な敵意を持っている者も少数ではない。それは主に女性に多い。甲斐という後ろ盾を持つ彰子を害そうとする者はいないだろうが、近視眼的な女性陣にはそんな理屈も通用しないこともある。政宗の寵愛深い側室という彰子の立場は妬みや嫉みを受けるものであり、女中衆のどす黒い妬心は内に篭れば篭るだけ、陰湿な嫌がらせへと発展しかねない。
そして、彰子の性格からしてそんな嫌がらせを受けた場合、政宗たちにそれを告げることはしないだろうと思えた。だから、敢えて佐助は実家を頼れと言及したのだ。
「とはいっても彰子ちゃんの性格じゃ難しいか。萌葱、撫子、真朱殿。彰子ちゃんになんかあったら、すぐに俺様に知らせてね」
「何故、わたくしが最後なのです。迷彩忍者」
「親密度の差でしょ。てか、ママ、今そんなこと突っ込まなくていいじゃない」
そんなことを言いながらも猫たちは佐助の頼みを受け容れていた。佐助のことは政宗の次くらいには信頼している猫たちなのだ。大好き度合いでいえば3匹ともダントツで信玄が好きなのだが、信頼度では信玄よりも佐助のほうが勝るのである。というか、如何なこの3匹でも信玄を顎で使うことなど恐れ多くて出来はしない。
「まぁ、自分の力じゃ如何にもならないときは頼らせてもらうわ。じゃないと幸村殿が拗ねちゃいそうだし」
純粋で真っ直ぐな熱血漢の義弟を思い浮かべ、彰子は佐助の言葉を受け容れることにした。実際にそうなることがあるとは思えないけれど、そう言ってくれる佐助の心が嬉しかった。
しかし、正直なところ佐助がここまで心配してくれるのが少々意外な気もする。佐助は細作らしく他人と一定の距離を置く傾向にある。幸村などは佐助が置いた距離の2倍を猪突猛進で詰めてしまう為例外ではあるのだが。そんな佐助だから何かあったら自分を頼れと言うなどとは思ってもみなかったのだ。猫たちが人間語を話せることは佐助しか知らないから、猫たちに告げたのはそういう意味だろう。
「ちょっと意外だわ。佐助さんがそこまで私のことを気にしてくれるなんて」
だから、彰子は率直に感じたままのことを口にした。そんなことが言える程度には佐助との間に友誼と信頼めいたものは築いている。
「うん、俺様も自分でちょっと意外~。大将や旦那以外の人間に心砕くなんて、我ながら有り得ねーって思うよ」
佐助も他人事のように同意する。
「でもまぁ、彰子ちゃんを最初に拾ったのは俺様だしねぇ」
「いやいや、私が佐助さんを拾ったんでしょ。正確には萌葱だけど」
だが、佐助によって上田城へ保護されたのだから、強ち佐助に拾われたというのも間違いではないかもしれない。
「あ、それもそうか。まぁ、俺様が最初に保護したんだから、最後まで面倒見なきゃなーって感じなのかもしれないね」
佐助は飄々として言うが、一人称が『俺様』なあたり、若干照れている部分もありそうだ。自分らしくない親切心に気恥ずかしさを感じているようだった。
「あー、なるほど。あれだね。子供が捨て猫や捨て犬を拾ってきて、お母さんが『最後までアンタが面倒見るのよ!』って言うのと同じ」
『元の場所に戻してらっしゃい』と叱っても頑としていうことを聞かない子供に根負けした母親の言う台詞だ。それと似た心境なのかもしれない。
「そうかもねー。それにさ、旦那だと話がでかくなりすぎるしね。俺のところに来る相談ならそんなことにはならずに済むでしょ」
苦笑しながら佐助は応じる。すっかり幸村は彰子のことを姉と思っていて、時折本当は他人だということを忘れてしまっているんじゃないかというくらいだ。過剰なほど姉思いの弟になってしまっていると佐助は感じている。そんな幸村がもし彰子が嫌がらせや苛めを受けているなんて知ったら大騒ぎになるに違いない。
「多分、そんな心配はいらないと思うよ。大抵のことは自分で処理出来ると思うし、奥向きのことは喜多さんに相談するもの。私に嫌がらせするっていうことは下手をすれば政宗さんにも影響が出ることだから……無駄に我慢はしないよ」
小督もいるし、何よりも猫たちが目を光らせている。それに仮にも領主付きの侍女たちが低レベルな嫌がらせはしないだろうと彰子は思った。深刻な問題になりそうであれば、まずは喜多に相談することに彰子は決めている。というか、喜多と成実から耳に胼胝が出来る勢いで何度も言われていることだった。
「それならいいけどさ。とにかく彰子ちゃんは我慢しすぎないこと。いいね?」
やはり佐助はオカンだと彰子は思った。懐に入れた人間に対しては心配性になる一面があるようだった。細作なのに冷徹になりきれない部分もあるのだろう。そこが佐助らしいとも思える彰子だった。
「あ、明日帰る前に一度顔見せてよ。お館様と幸村殿に文を差し上げたいから、持って行ってほしいの」
無事に奥州についたこと、奥州で暖かく迎え入れてもらえたこと、恙無く暮らし始めたこと。それらをこの世界に来て自分を家族にしてくれた二人に伝えたかった。
「うん、判った。じゃあ、明日の昼前には出立するから、それまでに書いておいてね」
佐助は首肯すると、お涙頂戴な展開にならないうちにと言って部屋を出て行った。本当は、このまま話していたらどんどん去りがたくなってしまうのを判っていたからだ。最初に彰子を保護したのは自分だ。一番彰子を近くで見てきたのも。庇護欲に名を借りた独占欲に似たものが自分の中にあることに佐助は気付いている。そしてそれを認めたくなかった。だから、長居は無用と用を済ませると座を立ち、いつもどおりの飄々とした態度を崩さず、部屋を立ち去ったのである。
「明日、甲斐に戻るそうだな、佐助殿」
宿泊場所となっている城内の一角で、翌日の長距離移動に備えて体を休めていた佐助に声をかけたのは、珍しく細作装束に身を包んだ小督だった。彰子の入城以来、表向き彰子付きの侍女となっている小督はこのところずっと小袖姿だったのだ。
「ああ。流石にこれ以上甲斐を留守には出来ないしね」
「そうか。御方様も心細く思われような」
佐助に促され腰を下ろしながら小督は応じる。胡坐を崩し片膝を立てた座り方だ。佐助も同じ体勢で座っている。何かあったときにすぐ行動出来るようにと彼らは常にこんな座り方をしている。
「どうかねぇ……」
なんせ俺様とっくに帰ったと思われてたしなーと内心で愚痴りながら佐助は曖昧に答える。
「そうに決まっておるではないか。佐助殿が帰られれば、里の上田の縁者は一人もいなくなるのだからな。せめて侍女の一人二人お連れになればよかったものを」
彰子が上田を出立するとき、たった3騎で奥州へ向かうと知った小督は心底驚いたのだ。てっきり後から駕籠と行列を仕立てて来るものだとばかり思っていた。それが普通だろう。因みに双竜には及ばずとも馬を乗りこなしていた彰子に『流石は真田の姉君、乗馬も巧みであられる』と感心した小督であった。
「うん、まぁ、姫様と話し合って決めたことなんだけどね。同盟を結んだとはいえ、何度も戦ってる甲斐から、事前の調整も何もなく突然行くわけだしさ。間者じゃないことを示す為にも身一つのほうがいいだろうって」
それは佐助が上田城の人々を説得する為に使った方便だが、実は彰子の発案だった。加絵の妹(やはり上田城の女中をしている)ら数名が彰子の供をして奥州へ行くと名乗りを上げていたのだ。それを留める為に彰子は佐助と共に知恵を絞り、その理由を作り出したのだった。
他国へ嫁ぐ姫には通常数名から数十名の侍女と護衛の武士が付く。武士の中には婚礼の後帰国する者もいるが、そのまま婚家に留まりその武士団に組み込まれる者もいる。
他国に嫁いだ姫の役割は実家と婚家を繋ぎ、関係を調整することだ。関係が良好なときにはより良好になるように、関係が悪化する(或いはしそうな)場合は実家に有利なように。姫の役割は実家の外交官ともいえる。実家の利益になるように婚家を誘導するのが最も重要な役割なのである。
政略結婚といい、その犠牲者と思われがちな姫だが、実際には実家の領主(父や兄弟)に能力を買われ信頼されたからこその政略結婚なのだ。だから、最も有能な娘(或いは姉妹)は関係の難しい敵に近い国へ、その次の娘は同盟国へ、その次は離反の可能性もある有能な家臣へと嫁ぐ。譜代の信頼置ける家臣や如何でもいいような小領主・家臣へ嫁ぐのは『能力なし』と見做された娘なのだ。
ともかく、他国へと嫁いだ姫は実家の全権大使であり、利益を代弁する外交官であり、スパイの総司令官だ。その手足となって実際に働くのが侍女や武士となる。
つまり、そういった手足を連れて行かないことで、真田から来た姫は間者となる可能性はなく、純粋に政宗の意向によって召し上げられた側室だと示したわけである。
「御方様は実にご聡明な方だな。それに常に我らにお心遣いをくださるお優しい方だ。まぁ……姫というには少々気安すぎるようにも思うが」
政宗を除いて、奥州側で最も早く彰子と直接の接触を果たしたのがこの小督だ。護衛ということもあって、一番彰子の様子を見ているのも。その所為か、小督はかなり早い段階で彰子に心酔するようになっていた。仕え甲斐のある素晴らしい御方様と誇りにさえしているらしい。そんな小督に佐助は苦笑が漏れる。
佐助も常に青葉城にいたわけではないが、彰子と彼女を取り巻く人々の変化を見てきている。そして、彰子の無意識での人心掌握力に舌を巻いていた。側仕えとなった衛門、護衛の小督は完全に彰子に心酔し『御方様の御為ならば命さえ惜しまぬ!!』といった風情だ。政宗の小姓たちも彰子を姉とも主とも慕っており、『御方様がご正室になられればいいのに』と話していることを佐助も知っている。
入城してから数日の間は女中から敬遠──というよりも警戒と敵意を向けられていたものの、今では8割がたの女中が彰子に対して好意的になってきている。勿論そこには主の寵妾に媚びて取り入り己の立場に利しようという打算もあるだろうが。
敬意や好意の程度の差はあれ、彰子は既に側室としての立場を確立している。寵愛厚く、けれどそれに驕ることなく万事控えめで聡明な優しい女性として。
「しかし、彼奴らも身の程知らずもよいところだ。まさか己に殿のお手がつくとでも思っていたのか」
残りの2割の女中に対して、小督はそんなふうに吐き捨てた。今のところ彰子に何かをすることはなく、精々自分や衛門に嫌味を言う程度でしかない。自分は敗者の戯言など寧ろ耳に心地好いと感じているし、衛門も一見温和しそうに見えてかなり勝気な性格だから、一向に堪えていない。
「ああ、あの侍女たちね」
数人を思い浮かべ、佐助は頷く。どれも小物だ。彼女たちが彰子に何かを仕出かしたとしても、彰子にとっては然程大したことは出来ないだろうと佐助は思っている。彰子は嫣然と笑って軽く受け流しそうだ。尤も、彰子はそうでも周りはそうではないだろうが。特に猫たち。あの化け猫たちは彰子が何かされたら100倍にして仕返しする。絶対にやる。
「あの醜女どもが御方様と寵を競おうなど、身の程知らずもいいところだ。御方様のお美しさお優しさ気高さの前にはやつらなど塵芥に等しい。蟇蛙が天女と争い天帝の妃になろうとするようなものだ」
「……小督ちゃん……ちょっと君、怖いよ」
笑顔のはずなのにコワイ。魔王とか明智とかの笑顔も不気味で怖いが、それと違った意味でなんかコワイ。彰子のことを神聖視しているようで、更に怖い。
「まぁ、小督ちゃんも猫たちもいるし、心配要らないでしょ。何より竜の旦那がいるんだしさ」
「ああ。まこと、殿のご寵愛は深いからな」
腕利きの細作と黒脛巾内でも実力を認められている小督ではあるが、身分は黒脛巾の中では中位程度でしかない。そんな小督に政宗は直々に『彰子を頼むぜ』と声をかけた。それほど、政宗は彰子のことを大切にしているのだと小督は実感したほどだった。
一方、心配は要らないだろうと言った佐助ではあったが、言うほどに安心しているわけでもない。なにしろ、この城内で彰子に向けられる悪意の根底にあるのは女の嫉妬なのだ。どうも恋愛には鈍そうな彰子だ。恐らく自分の主と同じくらい鈍い。あれだけ政宗から熱い視線を投げかけられても全く気付いていないくらいなのだ。だから、嫉妬に基づく悪意には気付かないか、気付いても戸惑ってしまう可能性も高い。
上田にいた頃は主に影響されて何処か能天気な城内の人々から悪意を向けられることもなく、好意だけを受けて過ごしてきた。その所為か、彰子は如何やら『この世界の人は気の好い人が多い』と思い込んでいるらしい。だから佐助としては余計に心配になる。
「彰子姫に何かありそうなときは上田に知らせてね。伊達の人じゃ姫を守りにくいときもあるだろうし、姫を最優先するわけにもいかないだろうからさ」
ことに侍女たちの嫉妬が原因で何かの問題が起きたときには、城内の者では巧くいかないこともあるだろう。侍女に通じている(故意かそうでないかは別として)者もあるだろう。
「ああ、そうだな。御方様も我らには気を遣われることもあろうしな」
僅か半月余りで彰子の性格をある程度把握した小督は頷く。そして言葉を継いだ。
「だが、身の安全に関しては然程心配には及ばぬ。私と衛門は殿よりも御方様を守れと、殿直々のお墨付きをいただいておる。成実様、喜多様からも同様のお許しをいただいているしな」
小督の言葉に佐助は驚く。政宗がそう言うのは納得出来る。しかし、臣下の立場の者がそれを容認するとは。
「殿のご寵愛が知れようというものだな。しかし、実はずっと不思議に思っておったのだが……」
小督の言った内容に佐助は若干焦った。いつかは言われるかもしれないと思っていたから、政宗と幸村と小十郎、そして彰子には相談して口裏を合わせてもらえるように根回しはしておいたけれど。有能な細作は用意周到なのである。
小督が不思議に思ったのはこういうことだ。
密かに同盟を結ぶ為に政宗は甲斐へ出向いた。そこで信玄と対面する便宜を図ってもらう為に旧知の真田幸村の領地である上田に行った。そこで彰子と出会い、政宗は一目で気に入り、幸村と信玄に願って側室に貰い受けた。――ということになっている。しかし、初対面にしては政宗と彰子は打ち解け過ぎているのではないか、そうずっと疑問に思っていたのだ。
「ほら、竜の旦那とうちの旦那って、らいばるってヤツでしょ。何度か竜の旦那、こっそりうちの旦那と戦う為に上田に来てるからさ。そのときに彰子姫とも知り合ってはいたんだよね。で、お互いに憎からず思ってたってとこかな。久しぶりに姫に会って、なんか唐突に想いを自覚したらしいよ、竜の旦那」
「なるほど。それならば得心が行く」
自身も色恋沙汰には疎い小督はあっさりと佐助の考え出した無理やり設定で納得してしまった。
(小督ちゃんも有能な細作なんだろうけど、人が好いよねぇ……)
ちょっとばかり心配になってしまう佐助である。
けれど、小督の有能さはこの数日で実感していることもあり、佐助は同盟者として信頼もしている。敵に回るようなことになればそれなりに手強いと思いつつ(尤も、伝説の細作風魔小太郎ならともかく小督程度に負けることなどないと自負もしているが)。
「あ、そうだ。うちに知らせに来るときは忍び込んだりせずに、堂々と城門から来なよ。彰子姫の使いって言えばすんなり通してもらえるしさ。まぁ、うちの連中ともある程度顔見知りになってるから忍び込んだとしても攻撃されることはないかもしれないけど。余計な手間はかけたくないし」
「確かに、それで時間を取られるのも馬鹿らしいな。だが、佐助殿。貴殿も同じだぞ。態々毎回忍び込まなくてもよかろうに。棟梁がぼやいておられたぞ。黒脛巾の者がいいように手玉に取られたとな……」
「いい訓練になったでしょ」
ニヤリと笑う佐助に、小督は溜息を漏らす。そして、表情を一変させ棟梁からの伝言を楽しそうに伝えたのである。
「佐助殿が忍び込まれた場合は、黒脛巾上忍の精鋭で手厚く持て成させていただく。覚悟召されよ」
流石の佐助もそれにはゲッと呻き、心底嫌そうな表情になったのであった。