朝は戦場

 朝が来たぞ~

 と、思わず『オジー』@木更津キャッツアイになってみました。

 合宿2日目の朝です。

 選手たちは6時起床で、15分後にはランニングスタート。7時くらいに戻ってくることになってる。

 で、その間に私は朝食の準備。

 ご飯は昨夜のうちにタイマーでセットしておいたから、炊き上がってます。……炊飯器3つ分。

 これからお味噌汁と、おかず作り。

 おかずは定番のしゃけの切り身と卵焼き(出汁巻)。

 ……卵焼きは1人2切れとして……1つ作ったらそれを6切れに分けて……うーんと……

 5個の卵焼きか。因みに出汁は味噌汁のお出汁使っちゃいました。

 味噌汁はイリコで出汁を取って、豆腐と油揚げ。

 出汁に使ったイリコは味は抜けてるけどカルシウム豊富だから佃煮にしちゃおう。全員分には足りないから、その分は出汁に使ってないものを足してね。

 味付け海苔もあるし、あ、がっくんは納豆かな。

 とにかく、やつらが帰ってくるまでに卵焼き大量生産ー! (5個だけど)

 しゃけの切り身だって14枚焼くとなれば1回じゃ済まないしね……。

 うわ、もう7時前! ヤツらが帰ってくる。

 最後の卵焼きを作り終え、しゃけの切り身も焼きあがり。

 うん、味噌汁もいいお味。

 お皿に切り身と卵焼きを盛り付けて、小鉢に佃煮入れて。

 ご飯茶碗、お椀、お箸、お醤油、海苔、納豆……よし。あ、あとお茶用意しとかないと。

 絶対真田とか食後にお茶飲みそうじゃない?

 ダイニングテーブルに14人分の用意が出来たところで、玄関から人の声が聞こえてきた。

 戻ってきたみたいね。ナイスタイミング!

「長岡腹減ったー」

 ばたばたと走ってくるのはがっくん。

「岳人、手ぇ洗わんかー」

 後ろから侑士の声がして、がっくんは慌ててUターン。

 彼らがダイニングに現れるのに合わせてお味噌汁をよそい、着々と準備。

「おー、いかにも朝食って感じじゃのう」

 におちゃんがそう言いながら、1人じゃ大変だろうと、よそったご飯を運んでくれる。

「じゃ、頂こうか」

 全員が着席したところで幸村が言って、皆お行儀よく「いただきまーす」となる。

 う~ん、朝から賑やか。

 ……ご飯、足りるのかな。

 そう言えば……昨日は微妙にご飯足りなかったのよね……。

 カレーだしと思って、ちょっと多めに炊いたつもりだったのよ。1人1.5合計算で、21合も! 余ったらおにぎりにでもすればいいかなーって思って。

 うん、高校生の胃袋舐めてました。

 今回は朝だから……と思って1人2膳分でいいかなと14合なんだけど……た……足りないかも。

 ちょっと、がっくん、丸井、ジャッカル……。あんたたち全身胃袋じゃないでしょうね!?







 ご飯はなんとかギリギリ足りて。

 後片付けは侑士とにおちゃんがやると申し出てくれたので、これ幸いとお任せして。

 食後に直ぐ運動は出来ないからね、練習スタートは9時からだし。

 これががっくんやジロちゃんだと食器割るかもしれないからお任せしないんだけど。

 だって、しっかり食器は高級瀬戸物ですしね……。

 侑士とにおちゃんなら1人暮らししてるからある程度出来るでしょ。

「各自簡単に部屋の掃除してねー! シーツ洗濯するから出してー!」

 夕べは暑かったから寝汗かいてるだろうし、シーツもお洗濯したほうがいいかなと思って。

 後片付けしてくれてる侑士とにおちゃんの部屋に走って(入ることは了承済み)シーツを持ってきながら各部屋に声をかける。

 うわ。洗濯物山になってるよ。

「長岡、シーツは替えがあるからランドリー室に放り込むだけでいい。後から管理人が取りに来る」

「了解。じゃあ、跡部これ放り込んどいて」

 これ幸いと跡部に大量のシーツを渡す。立ってる者は親でも使えってね。ま、座ってても跡部使うけど。

 跡部はこういう時の私に何を言っても無駄と知ってるから大人しくシーツを受け取る。

 洗濯はまず……タオルだな。かなり使いまくるし。

 洗濯機にタオルをぶち込んで、洗濯スタート。

 それから、キッチンに戻り、ドリンク作り。

 やっぱり冷たいほうが良いだろうと、昨日からお水はペットボトル(2リットル)に入れて冷やしてあるし。……業務用かと思うくらい大きい冷蔵庫でよかった。なんせ30本ほど冷やしてありますからね。

 15リットル用のウォータージャグ3つと5リットル用が1つで、5リットルのほうにはお水だけ。残りの3つにポカリとアクエリとゲータレードを作る。

 昨日も同じだけ作ってて練習終わったときには殆ど残ってなかったから、午前中の練習が終わったら一旦補充したほうがいいだろうな。

 ドリンクを作り終えたら、今度は救急箱の準備。タオルは各自持っていくからいいな。

「柳生、手首どう? 今日もテーピング要る?」

「いいえ、昨日念の為にしておいたのが良かったのでしょうね、今日は大丈夫ですよ」

 と紳士な口調の柳生。

「了解。がっくん……は大丈夫だな」

 ずっとピョコピョコ跳ねてるし。

 あとは……ああ、ボールとコーン出しておかなきゃ。

 コートに走っていけば、既に真田とジャッカルがボールやコーンを準備してくれてた。

 滝とジロちゃん、丸井はコート整備してくれてるし。

「全部長岡がやろうとしなくていいよ。これくらいは俺たちがやるからね」

 しまったーと思ってると、にっこりと幸村が笑う。

 どうやら幸村と跡部が指示してくれてたらしい。

「ありがと」

 まぁ、確かに私1人でやるには限界もあるからね。

「跡部、幸村。私、午前中は殆どコートに来れないかもしれないからよろしく。なんかあったら携帯鳴らしてね」

 午前中は洗濯とお昼の準備で大忙し。

 これまでの合宿では別荘の管理人さんたちが食事の準備や掃除洗濯してくれてたらしいけど、今回は断ったんだよね。

 だから、少なくとも共有スペースであるリビング・ダイニング・キッチンは私が掃除しなきゃいけない。あ、因みにお風呂は各部屋にあります……。贅沢な。まぁ、助かるけどね。

 それにね、こいつらの食欲からして、お昼ご飯も大量に用意しとかないといけないでしょ。

 因みにお昼ご飯は朝大量に作ったお味噌汁とおにぎり。

 おにぎりは握るのも大変だからと、便利グッズを確り準備しておきました! ご飯詰めて蓋して押さえればおにぎりになるやつ。

 まぁ、海苔は自分で巻かなきゃいけないけどね。でも握る手間は随分軽減するし。

「判った。何かあれば呼ぶ」

 跡部たちの了承を得て、別荘に戻る。

 そろそろ練習始まる時間だし、まだ来てないメンバーも呼ばなきゃいけないから。

「あー、彰子はええよ。忙しいやろ。俺らが持っていくよってな」

 タンクを持っていこうとしたら、そう侑士に止められる。

 侑士と宍戸、がっくん、それににおちゃんと柳生がタンクを持っていってくれるらしい。

「じゃあ、お願いね。あと、午前の練習が終わったらタンク持って帰ってきてくれるかな。補充しないといけないと思うから」

「了解」

「それと、こっちが早めに終わったら私もコートに行くから」






 侑士たちを送り出したら、さぁ、行動スタート。

 先ずはお昼ご飯用のお米を炊いて。

 おにぎりだし、多めに炊いておいても良いよね。

 炊飯器4つをフルに使って20合。……おにぎりだと結構食べられちゃうから。残った分は途中の間食用にすればいいし。

 おにぎりの中身は……梅干とオカカ、それにしゃけ(実は朝食のときに2枚多く焼いておいた)。

 海苔もあるし、うん、準備は良いね。

 洗濯機を回しながら、掃除機を掛けて。

 洗って干して、掃除機掛けて……を何度か繰り返して、掃除と洗濯が終わったのは10時。

 1時間か。意外と早く終わったな。もうちょっと時間掛かるかと思った。洗濯機が大容量だったのがラッキーだったかな。しかも2つあったし。

 おにぎり作りは30分も掛からないだろうから……11時半くらいに抜ければいいか。

 というわけで、一旦コートへ。







 コートへ行けば丁度休憩に入ったところみたいで。

 でも……暑いな。ドリンクは結構消費多そうね。

 跡部と幸村に声を掛けて、状況確認しつつ、コートに立つメンバーを見る。

 うん、具合悪い人はいなさそうね。

 というか、皆生き生きとしてる。

「午後からは練習試合だっけ」

 今日と明日の午後は実戦練習にあててるからね。

「ああ」

「侑士と宍戸は今回シングルスでやらせるんでしょ? がっくんのパートナーは?」

「滝かジローだが……どちらも組ませてみる」

「ウチのダブルスとやってみて、様子をみればいいしね」

 丸井・ジャッカルペアかな。におちゃん・紳士ペアかな。

「仁王は今回シングルスで試合したいって言ってるんだ。忍足とやりたいらしいね」

 ほー。

 食わせ者vs詐欺師かぁ。

「仁王も忍足意識してやがるのか」

 ニヤリと笑う跡部。

「忍足もかい?」

 ニッコリと笑う幸村。うん……ちょっと黒い気がします。

「侑士と跡部のダブルスとか見てみたいなー。幸村と真田とかも」

 普段の試合じゃ殆どありえないペアだし。

「……それも面白そうだね。でも俺と真田じゃなくて、俺と仁王のほうがいいんじゃない?」

 ?

 それも面白そうだけど。

「なるほどな。確かに組み合わせとしてはそれだろうな」

 ……意味があるのかな?

 支配者+曲者って組み合わせ同士ってこと?

「明日のラストはそれでいくか」

「そうだね」

 なんか2人だけで判り合ってますね。別にいいけどさー。

「……相変わらずニブちんじゃの」

「それが彰子やし、しゃーないわ」

 そんなことを侑士とにおちゃんが言ってたなんて、知らない私でした。






 休憩後はいつものようにメンバーの状態に目を配りつつ、跡部・幸村・柳とトレーニングの微調整かけたりしつつ、11時半までコートで過ごし。

 11時半になったところで、再び別荘へ。

 大量のおにぎりを作成して、陽気がいいからもう乾いたタオルやシャツを取り込んで。

 午後の試合に備えてスコアの準備をして。

 そうこうしてる間に、皆が戻ってきた。

 大量のおにぎりは……9割方なくなりました。

 若干残ったけど、それはおやつ? にまわることになりまして、夕食前には全てなくなりましたとさ。