テニスの王子様

a Tre~三重奏~

a piacere~意のままに~ 跡部を選ぶ

「私は…景吾が好き」

一瞬、綾弥が何を言ったのか理解できなかった。俺を好き……?

どういうことだ。ずっと綾弥は忍足のことを想っていたんじゃなかったのか?

「やっぱりそうなったんやな。俺がもう少し早う自分の気持ちに気付いとれば、違うてたかもしれへんけど…」

忍足は至極あっさりと言う。てめぇは判ってたということか。

「何、ぼーっとしてんねん、跡部。姫さんはお前選んだんやで。手ェ取ったらんかい」

ドンと背中を叩かれ、俺は綾弥の側へ行く。

「綾弥のこと幸せにしぃひんと許さへんで。もし泣かすようなことしたら奪いに行くよってな」

忍足は鋭い視線で俺を見据えて言う。まだ呆然としたままの俺はただ『判ってる』と返しただけ。

「綾弥、確り手綱とってや。俺様の管理よろしゅうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忍足が去り、2人庭園に残されたわけだが…。

「景吾、まだぼーっとしてるの?珍しいわね、俺様のこんな顔」

クスクスと綾弥が笑う。

「仕方ねぇだろ…。俺様にも予想外の展開だったんだ」

憮然として答える。ずっと綾弥は忍足を好きだと思っていたのに、今更こんな…。

「うん、私も予想外。でもいつの間にか景吾の方が大きくなっちゃってたんだもん」

綾弥は何処か吹っ切れたような明るい口調で言う。

「私が自分のことしか見えずに苦しんでた時、ずっと景吾は支えてくれてた。私を守ってくれてた。いつの間にか景吾は私にとってなくてはならない人になってたの」

真剣な想いのこもった瞳で綾弥は俺を見つめる。

「──…早速婚約発表の手配だな。指輪も買わねぇと。ああ、その前にお前の家族に挨拶だな。玲さんには2~3発殴られそうだが」

「えっ…ちょっと!それ展開早くない?」

「早くねぇよ。お前なら俺の親も文句言わねぇどころか諸手挙げて大賛成だろうしな」

「頭の中でこれからの行動の計画を立てる。婚約し、結婚は大学卒業後か。

ああ、だが、それよりも今はまず…。

「もう、景吾ってば…」

綾弥は呆れたように呟く。その唇に素早く自分の唇を重ねる。

「さっさと2人で時化込むことにするか」

こいつを愛するのが先だ。

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