20年後くらいの父と息子の会話

「父上……なんと申されました?」

「Ah? なんだ虎菊丸、もう耳遠くなったのかよ。まだ若ぇくせに」

「虎菊丸ではございませぬ。いい加減幼名はおやめくだされ」

「いちいち細けぇな。誰に似たんだよ。オレもHoneyも大概大雑把なのにな」

「そのような父上と母上と姉上に囲まれていればこうなるのも必然と存じますが」

「Ah~……てめぇ、綱元かよ」

「了庵とは苦労が似ておりますゆえ、自然似てまいるのでございましょう。話を逸らそうとなさっても無駄ですぞ、父上。私に将軍職をお譲りになるというのは一体どういうことですか」

「別におかしいことじゃねぇだろ。お前はオレの嫡男なんだし。世継ぎなんだしよ」

「ええ。おかしいことではございませぬ。ただ私がまだ15歳の若輩であるという点を除けば」

「構いやしねぇって。オレが家督継いだのだって15だからな」

「しかし、余りに将軍が若い者では侮る者も出てまいりましょう。ただでさえ私は戦を知らぬ世代と軽んじられております」

「時代は変わったんだ。だからこそ、お前に将軍職を譲るって言ってんだよ。これからは戦人の時代じゃねぇんだ。戦による荒廃の復興は終わった。オレたち戦人の時代はこれで終わったんだよ。次は新しい政を始めるTurnだ。それには世代交代するのが一番判り易いだろうが」

「父上、正直に仰ってください。格好いいこと言っても無駄です」

「この上もなく正直じゃねぇか」

「では何故、萌葱と撫子があちこちの温泉視察に行ってるんですか。佐助や先代の風魔もあちらこちらの観光地見所見聞録と土産目録を届けに来ておりまするな」

「Shit……」

「父上!」

「てめぇに将軍職押し付けてオレは楽隠居してぇんだよ! いいだろうが! Honeyといちゃこらしてぇんだよ!!」

「……お歳をお考えください」

「Ah? なんだよ、オレもHoneyもまだ若いだろうが! まだ四十路にもなってねぇんだよ。別にいちゃこらしたって構わねぇだろうが! 虎のオッサンなんざ40過ぎてから子供作ってんだしよ」

「然様にございまするな。父上はまだお若い。ならば私に家督を譲る必要などございますまい」

「……じじぃがいちゃこらして何が悪いんだよ」

「父上がじじぃならば同じお歳の母上はばばぁにございまするな」

「Honeyがばばぁだと!? 虎菊、てめぇどんな目してやがるんだ」

「ともかく、まだ早うございますな。時期をお待ちください。私を納得させられぬようでは、母上や片倉を説得するのは無理でございますぞ」

「……虎菊。てめぇ、性格悪ぃな」

「父上の息子にございますれば」