その結婚、お相手にはデメリットしかございません

マルガレーテ・エルメンガルト・ラインターラー

ラインターラー公爵家の当主。
十五歳で母クリームヒルトから爵位を継承し、後見人たちの補佐を受けながら、公爵家の領地経営と家の運営を担ってきた才女。
若くして重い責任を背負いながらも、必要な知識を身につけ、物事を冷静に判断する能力を磨いている。
貴族としての立場や家同士の契約を重んじ、感情だけに流されることなく、利益と責任の両面から物事を考える現実的な一面を持つ。
その一方で、決して愛情を軽んじているわけではない。
幼い頃から想いを寄せてきた婚約者アロイジウスとは、互いの能力と意思を尊重し合う関係を築いている。
父マルクスからは、母を亡くした直後から身勝手な振る舞いを繰り返されてきたが、父親だからという理由だけで公爵家の権限や財産を譲るつもりはない。
自らが当主であるという自覚と誇りを持ち、母が残した約束を守りながら、公爵家と領地、そして自分自身の未来を守ろうとする女性。


アロイジウス・ゲーアハルト・オーフェルヴェーク

南部辺境伯家の三男で、マルガレーテの幼馴染にして婚約者。
家を継ぐ立場にはないものの、貴族としての責任や婚姻が家同士にもたらす影響をよく理解している。
マルガレーテとの結婚を望んでいるのは、単に幼い頃から親しくしてきた相手だからというだけではない。
公爵家の当主として領地を治める彼女の能力や判断力を認め、その仕事と責任を理解したうえで、人生を共に歩みたいと考えているからだ。
穏やかな物腰の持ち主だが、自分の意思を曲げることはなく、相手の立場や感情を尊重しながらも、必要な場面では毅然とした態度を取る。
エーファから結婚を望まれても、彼女の気持ちだけを理由に婚約を解消することはない。
結婚とは、互いの愛情だけでなく、家や領地に対する責任を分かち合うものだと考えている。
マルガレーテを庇護すべき弱い令嬢として扱うのではなく、一人の当主として対等に向き合い、彼女の隣に立って支えることを望む、誠実で頼もしい青年。


マルクス・フリートヘルム・ラインターラー

四十歳。
かつて前公爵クリームヒルトの夫としてラインターラー公爵家に婿入りした男性で、マルガレーテの父親。
公の場では公爵家の一員として扱われてきたが、実際には公爵位を継承したことはなく、家の運営や相続に関する権限も持っていない。
しかし、本人は自分こそ公爵家を取り仕切る立場だと思い込み、娘が担ってきた領地経営や家の運営を正しく理解していない。
金銭管理にも問題があり、追加の金銭を受け取る際に署名した書類の内容すら把握せず、借金を重ねてしまう。
クリームヒルトの存命中から平民の女性ヘルミーネと関係を持ち、彼女との間に生まれたエーファを溺愛している。
妻の死後は自分の再婚や娘の将来を優先し、その手続きまでマルガレーテに押しつけた。
さらには、エーファの望みを叶えるため、マルガレーテとアロイジウスの婚約を解消させようとする。
父親という立場と公爵家の権限を混同し、自分に都合のよい解釈を繰り返してきた彼は、やがて自らが信じていた立場と現実との違いを突きつけられることになる。


エーファ・デイク

十八歳。
マルクスと平民の女性ヘルミーネ・デイクとの間に生まれた娘で、マルガレーテの異母妹にあたる。
豊かな金髪を丁寧に整え、華やかな衣装を好む美しい少女。
自分の容姿に自信があり、周囲から注目されることを当然のように受け止めている。
父から溺愛されて育ち、望みが叶わないときには父に頼ればどうにかなると考えている。
母からも、欲しいものがあるなら男性に甘えて手に入れるよう教えられてきた。
そのため、自分が誰かを気に入れば、相手も自分の望みに応じるはずだと思い込みがちである。
マルガレーテの婚約者アロイジウスを気に入り、二人の婚約を解消して自分と結婚させるよう父に求める。
しかし、エーファは公爵家の籍に入っておらず、貴族令嬢としての身分も持たない。
母クリームヒルトが生前に定め、マルクス自身も署名した約束により、平民として学院に入学している。
本人はその立場と、貴族の婚姻に伴う責任を十分に理解していない。
自分の美しさや父の庇護だけでは思いどおりにならない現実に直面し、これまで当然だと思っていた暮らしを失うことになる。