婚約者じゃなくて王太子妃候補ですわ

レオンティーヌ・ラマディエ

ノヴェール王国の公爵令嬢であり、五歳のときに王太子妃候補へ選ばれた才媛。
王太子妃筆頭候補として、幼い頃から王家の制度や貴族社会の礼儀を学び、王子たちとの交流を通じて、それぞれの資質を見極める役目を担ってきた。
卒業を迎える頃には、十二年にわたる教育と経験を積み重ね、与えられた責務を誠実に果たす気品ある令嬢へと成長している。
淡い青銀色のドレスを優雅に着こなし、常に背筋を伸ばして振る舞う姿は、王太子妃候補の名にふさわしい。
感情に任せて騒ぎ立てることはなく、問題が起きても冷静に事実を確認し、規則と記録に基づいて対処する現実的な判断力の持ち主。
第一王子ユルリッシュから一方的に婚約破棄を宣言され、ロラへの嫌がらせまで告発されても、動揺に流されず、自らが果たしてきた務めを明確に示す。
王太子妃候補とは王子個人の婚約者ではなく、王太子にふさわしい人物を見極める立場であることを理解しており、その責任を誰かに委ねることもない。
友人たちとの絆を大切にしながら、自分の役目に誇りを持って歩む、知性と芯の強さを備えた女性。


オーレリアン

ノヴェール王国の第二王子。
第一王子ユルリッシュが第一王子という立場を過信し、王家の制度を軽視するなか、冷静な判断力と理性的な言動を示す人物である。
卒業パーティーでユルリッシュがレオンティーヌに婚約破棄を宣言し、ロラへの嫌がらせを理由に彼女を責め立てた際には、騒動の中心へ歩み寄り、まずレオンティーヌの身を案じる言葉をかけた。
そして、彼女とユルリッシュの間には正式な婚約が成立していないこと、ロラへの嫌がらせについても具体的な証拠が示されていないことを、落ち着いた口調で指摘する。
兄に逆らうこと自体を目的とするのではなく、事実と制度に従って判断すべきだという姿勢を崩さず、王太子にふさわしい資質と個々の告発の真偽は別の問題だと明確に述べた。
その言葉は、周囲の貴族たちにも納得をもって受け止められる。
決して声を荒らげず、筋道を立てて相手の誤りを正す姿からは、冷静さと公正さがうかがえる。
また、レオンティーヌに向ける視線や、審問後に休息を勧める気遣いには、彼女を案じる気持ちが表れている。
混乱した場面でも理性を失わず、相手への配慮を忘れない王子。


ユルリッシュ

ノヴェール王国の第一王子で、正妃の子。
王位継承において自分が他の王子たちよりも優位にあると信じており、第一王子であることを王太子になる当然の根拠と考えている。
王太子妃筆頭候補のレオンティーヌとは、王家の定めに従って交流を重ねる立場にあるが、ここ数か月は約束された昼食や茶会に一度も姿を見せず、その時間を側近候補たちやロラ・セギーと過ごしていた。
ロラが礼儀や王宮の規則について注意を受けると、彼女を庇い、レオンティーヌを責める。
その結果、卒業パーティーではロラを伴って現れ、正式な婚約が成立していないにもかかわらず、レオンティーヌに婚約破棄を宣言するという騒動を引き起こした。
さらに、ロラを妃にすると公然と宣言し、自分の立場と発言が王家の規定にどのような影響を及ぼすのかを十分に理解していなかったことが明らかになる。
父である国王から事実を問いただされても、当初は第一王子としての優位性に固執し、自らの判断を撤回できない。
最終的には、王太子候補としての道を自ら閉ざし、王位継承順位を最下位へ変更されることとなる。
生まれ持った地位への過信と、制度や責任への認識の甘さが、彼自身の未来を大きく変えてしまう人物。


ロラ・セギー

セギー男爵の庶子で、王立学院の二年生への進級時に編入してきた令嬢。
彼女は、この世界をかつて自分が遊んだ乙女ゲームの世界だと考えており、第一王子ユルリッシュを攻略対象、レオンティーヌを自分の恋路を邪魔する「悪役令嬢」だと決めつけている。
自分こそ物語の主人公であり、ユルリッシュが王太子となって自分を妃に迎える結末は変わらないと信じているため、王家の制度や貴族社会の規則を正しく理解しようとしない。
王族への呼びかけ方や学院での礼儀、王宮に関わる者として守るべき規則についてレオンティーヌから注意を受けても、それを必要な指導とは受け止めず、自分への嫌がらせだと考える。
そして、ユルリッシュが自分を庇ってくれることを心の支えにし、彼が卒業パーティーでレオンティーヌとの関係を断ち、自分を妃にすると宣言することを期待していた。
しかし、実際にはレオンティーヌとユルリッシュの間に正式な婚約はなく、王太子妃候補の制度も彼女が思い描く物語とは異なっていた。
審問の場では、レオンティーヌを苛めの加害者として告発するものの、具体的な証拠を示せず、ついには彼女を「悪役令嬢」と呼んでしまう。
自分の知る筋書きに現実を当てはめ、相手の立場や事実を見ようとしなかったことが、告発の信頼性を失わせる結果につながる人物。