フランシーヌ・オレリア・ド・ルヴェリエ
フロスティブルーの髪、オールドローズの瞳。
エーベル王国の名門、ベロワイエ公爵家の末娘。
王族の血を引く公爵令嬢であり、前世では『王都の恋は艶やかに』という小説を読んだ記憶を持つ。
五歳のとき、自分がその物語に登場する悪役令嬢だと気づき、原作どおりに進めば自分だけでなく、大切な家族までもが悲惨な運命を迎えることを知ってしまう。
そんな未来を変えるため、彼女は前世の知識を頼りに、物語の展開や災害、疫病などの情報を整理した予言書を作ることを決意する。
家族を守りたいという思いは強いが、本人もまた家族から惜しみない愛情を注がれており、仕事の合間に会いに来てくれる父や、何かと構ってくれる兄たちに囲まれた日々を送っている。
婚約者のシルヴェストルからも深く愛されており、彼の一途な言動には本人も自然と笑顔になる。
真面目に未来を変えようと奮闘する一方、家族との楽しい時間や大好きなお菓子の誘惑には弱い一面も。
愛する人々とともに幸せな未来を築くため、小さな令嬢は今日も懸命に行動する。
シルヴェストル・エティエンヌ・ド・バシェ
エーベル王国の第二王子で、フランシーヌの再従兄にあたる人物。
王家の血を示すピジョンブルーの髪とローズダストの瞳を持ち、幼い頃から整った顔立ちをしている。
フランシーヌが生まれた頃から彼女を知っており、幼い彼女を散歩に誘ったり、一緒に過ごす時間を何よりも楽しみにしたりと、早くから特別な愛情を向けてきた。
フランシーヌを妻に迎えたいという気持ちは本気そのもので、彼女の父クリストフや兄たちに婚約を認めてもらうため、何度も交渉を重ねる。
誠実な説得から贈り物による懐柔、王族としての責任や政治的な利点の説明まで、あらゆる方法を試みるものの、妹を手放したくない家族の壁は厚い。
それでも諦めず、長い年月をかけて彼女との未来を求め続ける一途な人物である。
王族としての務めや学業にも真面目に取り組む一方、フランシーヌを前にすると表情は柔らかくなり、彼女の好きなお菓子や日々の予定にも関心を寄せる。
原作ではマノンと恋に落ちるはずだったが、この世界で彼の心が向かう先は、いつだって大切な婚約者フランシーヌである。
クリストフ・エルキュール・ド・ルヴェリエ
フロスティブルーの髪、ローズミストの瞳。
ベロワイエ公爵家の当主であり、フランシーヌの父。
領地を治める公爵として領民から頼りにされ、王城では国王から厚い信頼を寄せられている。
公務で多忙な日々を送っているが、家族への愛情は深く、仕事の合間にも娘の様子を見に訪れ、彼女の好みに合わせてお菓子を用意するなど、細やかな気遣いを忘れない。
フランシーヌが勉強に励んでいれば、その努力を認めて優しく褒める父親でもある。
一方で、愛娘を大切に思う気持ちは並外れており、シルヴェストルがフランシーヌとの婚約を申し込んでも、簡単には認めようとしない。
国王が息子の誠実さを保証しても、「娘を連れていく可能性のある人物」として警戒を緩めず、婚約交渉では何度もシルヴェストルを退ける。
兄たちとともに娘を手放したくない気持ちは強いが、単に相手を拒絶しているわけではなく、娘の幸せと将来を真剣に考えているからこその態度である。
公爵としての責任感と、一人の父親としての親心。
その両方を併せ持ち、フランシーヌにとって大きな安心を与えてくれる存在である。
オリアーヌ・オドレイ・ド・ルヴェリエ
ヘリオトロープ色の髪、アザレ色の瞳。
ベロワイエ公爵夫人であり、フランシーヌの母。
美貌の持ち主として知られ、社交界では「社交界の華」と称されるほどの存在感を放つ。
王后陛下と並び称される影響力を持ち、公爵夫人としての立場と人脈を備えた女性である。
その一方、家庭では夫クリストフや三人の息子たちとともに、末娘フランシーヌを深く愛し、大切に育てている。
フランシーヌにとって家族は何よりも大切な存在であり、母のいる家庭は、彼女が守りたいと願う幸福そのものでもある。
前世で読んだ物語の未来を知ったフランシーヌは、自分が破滅すれば母や父まで命を落とし、兄たちも王国を去ることになると知って衝撃を受ける。
それほどまでに、家族の結びつきは彼女にとって大きな意味を持っている。
オリアーヌ自身も、娘を守ろうとする家族の一員であり、社交界で築いてきた立場や影響力も、ルヴェリエ家を支える大きな力となっている。
華やかな社交界での顔と、愛する家族を持つ母としての顔。
その両面を備えた、フランシーヌの大切な母親である。
マティアス・バティスト・ド・ルヴェリエ
スモークブルーの髪、ローズドランジュの瞳。
フランシーヌの長兄で、ルヴェリエ公爵家の第一子。
フランシーヌが生まれたときにはすでに十歳で、幼い妹の小さな手を初めて握った日のことを、今でも大切な思い出として語るほど妹を溺愛している。
フランシーヌの欲しいものを用意したり、妹と過ごす時間を楽しんだりと、彼女にとって頼もしく優しい兄である。
シルヴェストルが婚約を申し込むようになると、長年妹を可愛がってきた自分の立場をさりげなく主張し、王子に対しても簡単には譲らない。
シルヴェストルが「自分もフランシーヌが生まれた頃から知っている」と言えば、マティアスは自分が十歳のときに妹と出会った思い出を持ち出す。
そんなやり取りからは、妹を大切に思う気持ちと、婚約者に対する少々大人げない対抗心がうかがえる。
父や弟たちと同じく、フランシーヌを手放したくない気持ちは強く、婚約交渉でもシルヴェストルの説得に立ちはだかる一人。
家族への愛情が深く、妹の幸せを願う一方で、いつまでも可愛い妹をそばに置いておきたいという本音も隠しきれない、温かな家族の日常を彩る人物である。
ユルリッシュ・ファブリス・ド・ルヴェリエ
チョークブルーの髪、ローズミストの瞳。
フランシーヌの次兄で、ルヴェリエ公爵家の第二子。
妹を深く愛しており、彼女が欲しがるものを先回りして用意してくれるなど、細やかな気配りのできる兄である。
兄弟の中では冷静に状況を見極める一面があり、にこにこと微笑みながら周囲のやり取りを眺めていることも多い。
ただし、その笑顔を浮かべているときは何かを企んでいることが多いらしく、フランシーヌも兄の考えを完全には読み切れない。
式部省の官僚として学院の教育制度や運営状況を確認するために学院を視察するなど、行政や制度に関わる立場でも活躍している。
シルヴェストルとの婚約交渉では、王子が提示する政治的な利点を一つずつ検証し、さらに別の問題点を指摘するという理性的な役回りを担う。
贈り物や熱意だけでは納得せず、妹の将来に関わる話だからこそ、あらゆる角度から慎重に判断しようとするのだ。
フランシーヌが学院で転んだ際には、彼女の様子を確認したうえで周囲の状況を冷静に見渡し、何が起きたのかを把握しようとする。
妹を大切にする優しさと、物事を分析する頭の回転の速さを併せ持つ兄である。
ラザール・アルフレッド・ド・ルヴェリエ
ウィスタリア色の髪、ローズピンクの瞳。
フランシーヌの三兄で、ルヴェリエ公爵家の第三子。
幼い頃から妹を守る気持ちが強く、フランシーヌを守るためなら剣を抜くことも厭わない、頼もしい兄である。
まだ十一歳の頃から騎士団で稽古に励み、将来は近衛騎士になることを目標にしている。
兄たちの中でも武の道を志す人物であり、妹を守るための力を身につけようと努力している。
フランシーヌが学院に通うようになってからも、彼女の周囲に目を配り、シルヴェストルとともに行動する場面がある。
学院でフランシーヌが転んだ際には、シルヴェストルが駆け寄った後にラザールも近づき、兄として妹の身に何が起きたのかを確かめようとする。
また、マノンが侍従に対して無礼な態度を取った場面では、その様子を見て表情を険しくする。
王族への礼儀を欠くだけでなく、職務を果たしている侍従にまで横柄に接する態度を、好ましくないものと受け止めている。
言葉よりも行動で大切な人を守ろうとする、実直で頼もしい兄。
フランシーヌにとっては、優しい家族であると同時に、いざというときに頼れる守り手でもある。
マノン・ボルド
前世でフランシーヌが読んだ小説『王都の恋は艶やかに』のヒロイン。
ローアンバーの髪とリーフグリーンの瞳を持つ平民の少女で、ボルドは貴族の姓ではなく、出身地を示す呼び名である。
原作では王立エクラタン学院で第二王子シルヴェストルと出会い、恋に落ちる運命にある人物として描かれている。
その物語を知るフランシーヌにとっては、自分の破滅につながる未来を象徴する存在でもある。
マノン自身も、シルヴェストルとの出会いが原作どおりに訪れることを期待しているようで、学院で彼に声をかけた際には、物語の始まりとなるはずの場面が思い描いたとおりに進まないことに戸惑う。
シルヴェストルにはすでにフランシーヌという婚約者がおり、彼の関心は彼女に向けられている。
さらに、王族への取り次ぎを担当する侍従に対して苛立ちを見せる場面もあり、周囲の立場や礼儀との向き合い方がうかがえる。
原作の筋書きと現実の人間関係が食い違っていく中で、マノンの期待もまた、思いどおりには運ばなくなっていく。