聖女の加護は永遠ではありません

エレノア

14歳で聖女に選ばれ、以来8年間にわたって祈りを捧げ、女神の加護と国を守る結界を支え続けてきた女性。
淡い銀金色の髪と澄んだ青い瞳を持ち、神殿の聖衣をまとった姿は美しく神聖な印象を与える。
一方で、長年にわたる祈りの負担によって身体は深く疲弊しており、以前のように力を使うことも難しくなっている。
人々の暮らしを守りたいという思いから、自らの苦痛を顧みずに務めを果たしてきたが、女神から加護には終わりがあると告げられ、国が聖女の力に依存し続けてきた現実と向き合うことになる。
さらに、加護を延長するために自分の命を犠牲にしようとする王の方針に直面し、誰かのために自分を犠牲にする生き方を見つめ直していく。
やがて、王太子アルベルトらとともに国の再建を模索する一方、聖女としての責務だけに縛られない、自分自身の人生を選ぶ決意を固める。
物語を通じて、献身と自己犠牲の違いを知り、自らの意思で未来を歩み始める。


アルベルト

王国の王太子であり、国王レオナルト三世の息子。
次代の王として統治機構や政務について学んできたが、女神の加護による豊かさを当然のものとして受け入れ、国を守るための備えが失われている現実を十分に認識できていなかった。
聖女エレノアから結界の異変を知らされ、加護が永遠ではないと判明すると、老朽化した国境の砦の修繕や軍備の再建、食料備蓄の確保を急ぐべきだと主張する。
しかし、加護の延長に固執する父王や、既得権益を守ろうとする貴族たちの反発に直面する。
自身もまた、王族として加護に頼り、国の問題を見過ごしてきた一人であることを認め、その責任から逃げない道を選ぶ。
危機が深まるなかでは、王家の備蓄を避難民や負傷兵に優先して配給し、王宮の財産を防衛費に充てるなど、立場や体面よりも民の命を重んじて行動する。
エレノアが命を削って国を守ろうとした際には、彼女を支え、これ以上の無理を止めようとする。
父の過ちをなかったことにはせず、同時に自らも責任を引き受ける姿勢を貫き、即位後は国の再建に取り組む。
失敗を認め、誰かの犠牲に頼らない国を築こうとする、誠実さと責任感を備えた人物。


レオナルト三世

王家三代目の国王であり、王太子アルベルトの父。
威厳ある顔立ちと豊かな白髪を持ち、黄金の王冠を戴く。
女神の加護によって国が長年豊かさを保ってきたため、その繁栄を自らの治世の成果と考え、加護が失われる可能性を深刻に受け止めてこなかった。
聖女エレノアから北方の結界に亀裂が生じていると警告されても、軍備の増強や砦の修繕には多額の費用がかかるとして、対策に消極的な態度を示す。
加護の終わりを知ると、国の自立に向けた備えを整えるよりも、加護を延長する方法を探すことを優先。
宰相ヴァルデック侯爵の進言も受け、聖女の命を犠牲にしてでも従来の繁栄を維持しようとする。
背景には、加護の終わりを認めることが、自身の治世の失敗を認め、歴史に愚かな王として名を残すことへの恐れがあった。
しかし、結界の弱まりと魔物の襲撃によって、これまでの怠慢がもたらした現実を突きつけられる。
やがて自らの過ちを認め、エレノアに後悔を語るものの、謝罪だけで失われた年月や人々の被害が取り戻せるわけではないことも理解していく。
最後には王冠をアルベルトへ譲り、退位する。
加護への依存と責任回避が国を危機に導いた一方、晩年になって自らの過ちと向き合う人物。