真壁誠
日本の高校に通う、ごく普通の高校二年生。
成績は中の上、運動能力も平均的で、喧嘩の経験も特別な才能もない。
穏やかで落ち着いた性格の持ち主であり、突発的な出来事にもあまり動じない。
困っている人がいれば、自分にできる範囲で手を貸そうとする誠実さも備えている。
そんな彼には、ただひとつ、決して揺らぐことのない信念があった。
それは、神は唯一の存在であり、それ以外の超自然的な存在は神ではない、という徹底した一神教の信仰である。
誠は自分の信仰を他人に押しつけようとはしないが、唯一の神に属さない存在を悪魔と認識した以上、それを見過ごすこともできない。
異世界へ召喚された際も、事情を聞いて人々を救うために魔王討伐へと向かう。
しかし、地球の神々から与えられた規格外の加護によって、本人の自覚とは裏腹に、世界の常識を超越した圧倒的な力を手にしていた。
魔王を一撃で倒した後、祝福を授けに現れた異世界の神々までも悪魔と判断し、追い回すことになる。
本人はあくまで礼儀正しく、正しいと信じることを実践しているだけなのだが、その純粋で揺るぎない信念と規格外の力こそが、世界中の神々を恐怖させる原因となっている。
伊弉諾尊
全世界異世界召喚対策委員会の議長を務める、日本神話の神。
神々が集う会議の上座に立ち、世界各地で発生している地球人の異世界召喚被害について、冷静かつ慎重に議事を進行する。
異世界召喚によって地球の子供たちが突然連れ去られ、勇者や聖女として戦闘を強いられている現状を深刻に受け止め、被害を防ぐために各神話圏の神々と協力する体制を整えた。
判断力に優れ、危険を予測して慎重に行動する現実主義者。
思金神が提案した実験にも、召喚先の神々との衝突や対象者の危険を懸念し、安易に賛同することはなかった。
実験を実施する際にも、対象者の命を守るための保護措置を重視し、直接接触せず遠隔観測に徹する方針を示している。
しかし、思金神の提案を最終的に認め、地球の神々が持つさまざまな権能を真壁誠に与えた結果、事態は予想を超えた方向へと進んでしまう。
魔王を倒した誠が異世界の神々まで襲撃する姿を見て、伊弉諾尊は頭を抱え、関係者に接触禁止を厳命することになる。
責任感が強く、委員会の本来の目的である被害防止を何より重視する一方、問題を引き起こす思金神には容赦なく叱責を浴びせる。
神々の安全と地球人の平穏を守ろうと奔走する、委員会の良識を担う存在である。
思金神
全世界異世界召喚対策委員会に参加する男神で、知恵と思考を生かした頭脳労働を得意とする。
会議では議事の整理や対策案の作成を担当し、異世界召喚による地球人の拉致被害を解決するため、既存の方法にとらわれない発想を提示する。
異世界の神々に直接抗議しても、外交問題に発展するだけで召喚を止められる保証はない。
そこで彼が思いついたのが、唯一の神だけを信じ、それ以外の神々を偽物や悪魔と認識するほど信仰心の強い人間を異世界へ送り込むという実験だった。
召喚先の神々と衝突する可能性を十分に理解しながらも、その結果に強い興味を抱く、好奇心旺盛な策士である。
実験対象となった真壁誠には、地球の神々が持つ多種多様な権能が与えられた。
生命力や精神力、戦闘能力、危険察知、回復力などを徹底的に強化した結果、誠は魔王を一撃で倒すほどの圧倒的な存在となる。
しかし、思金神の予想をはるかに超えた問題は、誠が魔王だけでなく異世界の神々まで悪魔と判断し、神界そのものを襲撃したことだった。
事態を前に「加護を盛りすぎた」と反省するものの、騒動の後も別の条件で実験を試みる可能性を口にするなど、研究者としての探究心は衰えない。
そのたびに伊弉諾尊から厳しく叱られる、知恵と発想力に優れる一方で、好奇心が騒動の火種となりがちな神である。
地球の神々
日本神話、北欧神話、ギリシャ神話、インド神話、エジプト神話、中国神話など、世界各地の神話に属する神々の総称。
伊弉諾尊を議長とする全世界異世界召喚対策委員会に集まり、異世界召喚によって地球の人々が本人の意思に反して連れ去られる問題への対策を協議している。
オーディン、トール、ゼウス、ヘラ、アテナ、インドラ、ヴィシュヌ、シヴァ、ラー、玉皇大帝など、多様な神々が参加しており、それぞれの神話圏を越えて情報を共有する大規模な協力体制を築いている。
地球人が異世界で勇者や聖女として危険な戦いを強いられ、帰還後も心に傷を負う事例を憂慮し、召喚被害を防ぐための手段を模索する。
思金神の提案による実験では、対象者がどのような危険に遭遇しても生き延びられるよう、生命力、精神力、身体能力、戦闘能力、戦術、危険察知、回復力など、各神の権能を最大限に提供した。
しかし、対象となった真壁誠は、異世界の魔王を倒しただけでなく、祝福を与えようとした異世界の神々まで悪魔と見なして攻撃してしまう。
地球の神々は遠隔観測を続けながら事態の深刻さに気づき、誠との接触を避けるよう徹底する。
人々を守るために力を合わせる責任感と、神々自身も巻き込まれかねない騒動への戸惑いを併せ持つ集団である。
事件を通じて、強大な力を与えることと、その力がもたらす結果を制御することは別問題だと痛感することになる。
異世界の神々
真壁誠が召喚された異世界を見守り、人々から神として崇められている超自然的存在の総称。
魔王が倒された後、世界を救った勇者の功績を称え、祝福や褒美を授けるために誠の前へ姿を現す。
彼らにとって、勇者の働きを認めて報いることは自然な行為であり、誠に危害を加える意図はなかった。
しかし、唯一の神のみを信じる誠は、彼らの神々しい姿や強大な力を見て、唯一の神に属さない存在、すなわち悪魔であると判断する。
神々が誤解を解こうとしても、誠は話を聞いたうえで自らの信仰に照らして結論を変えず、剣を向けてしまう。
突然攻撃された神々は、当初こそ状況を理解できず、誤解を解けば収まると考えていたが、誠の圧倒的な力を前にして事態の深刻さを思い知らされる。
神界の防壁や転移門、隠蔽術を駆使して逃れようとしても、誠は神々と神界を結ぶ縁をたどり、追跡を続ける。
やがて神々は、残された力を結集して誠を元の世界へ送り返すという最後の手段を選択する。
この騒動によって、彼らは善意で召喚された勇者であっても、信仰や価値観が異なれば予測不能な脅威となり得ることを学ぶ。
そして、地球人を召喚すること自体が極めて危険だと判断し、地球からの人間召喚を全面的に禁止する決議を全会一致で採択する。
善意から始まった褒賞の儀式をきっかけに、世界の常識を覆す大騒動へ巻き込まれた神々である。