せいじょorせいじん

阿波津玲衣

阿波津玲衣、17歳。
花畑高校に通う、ごく普通の女子高校生――のはずだった。下校途中、突然巨大な魔法陣に巻き込まれ、異世界の神殿へと召喚される。
壮麗な神殿、神官、騎士、そして美貌の王太子を目にした瞬間、玲衣の頭に浮かんだのはただ一つ。「異世界召喚、そして私は聖女!」。
ラノベやアニメ、乙女ゲームで得た知識を現実の異世界にそのまま当てはめ、自分を物語の主人公だと思い込んでいる。男性を「攻略対象」、女性を「悪役令嬢」や「モブ」と分類し、周囲の人間を一人の人間として見るよりも、自分の物語を彩る登場人物として認識してしまう。
大神官から「聖女ですか、聖人ですか」と問われても、状況を確認することなく「聖女」と即答。その結果、彼女が想像していたものとはまったく異なる「聖女」の意味を知ることになる。
明るく行動的で、自信に満ちている一方、思い込みが激しく、現実を自分の願望に合わせて解釈する危うさを持つ少女である。


アルフレッド

アルフレッドは、この国の王太子にして、未来の王となる青年である。黄金に輝く髪と鋭く美しい蒼い瞳、誰もが息を呑むほどの美貌を持ち、鍛錬によって磨かれた引き締まった肉体を備える、まさに王子と呼ぶに相応しい人物だ。
しかし、外見だけが彼の価値ではない。異世界から召喚された者に救世主として頼ることが当然とは考えず、召喚者の適性を見極め、必要とあれば自分たちの力で国を守る現実的な判断力を持っている。
玲衣が召喚された際にも、彼女が周囲の男性を品定めし、女性には敵意を向け、自分を物語の主人公だと思い込んでいることを冷静に観察していた。そして彼女が「聖女」と即答すると、その適性を見極めたうえで「今回は外れか」と判断する。
セレスティーヌとは婚約関係にあり、彼女と共に未来の国を背負う立場にある。
災厄まで残された五年という時間の中で、異世界の救世主に依存するのではなく、自ら剣を取り、聖騎士となるための鍛錬に励もうとしている。
王族としての責任感と現実主義を併せ持つ青年である。


セレスティーヌ

セレスティーヌは、アルフレッド王太子の婚約者である美しい公爵令嬢。銀色に輝く髪と気品ある容姿を持ち、優雅な立ち居振る舞いからも高い身分と教養が感じられる女性だ。
玲衣が召喚された際には、王太子の隣で彼女の様子を静かに見守り、「聖女」であることを確認したうえで落胆を隠さなかった。
しかし、その反応は単純な嫉妬や敵意によるものではない。この世界における「聖女」と「聖人」の意味、そして過去の召喚者たちの末路を知る者として、今回の召喚が国にとって大きな負担となる可能性を理解しているからである。
玲衣が自分を物語の主人公だと思い込み、周囲の人間を攻略対象や当て馬として扱っていることにも気づいている。
アルフレッドとは互いに国を守る責任を共有する関係であり、彼が騎士修行に励む一方で、自らも「少しでも聖人に近づけるよう、鍛錬する」と決意する。
優雅な令嬢という外見の内側には、王族を支え、未来の国を守ろうとする強い意志と責任感がある。
単なる悪役令嬢ではなく、自らも運命を背負う未来の王妃である。