アビー
田舎の小さな男爵領を治める家に生まれた、明るく天真爛漫な少女。
貴族学院に通うため王都へ出た彼女は、そこで王太子の第一王子ギルバートと恋に落ちる。
王子様と恋をして婚約者になる――そんな物語のような未来を夢見ていたアビーだったが、現実のギルバートは王位継承順位が兄弟の中で最下位。しかも母親が一代男爵家の出身であるため、いずれ王族の身分を失い、平民になる運命だった。
礼儀作法や貴族社会の常識にはかなり疎く、授業中も真面目に話を聞かないため、王位継承の仕組みすら知らなかったほど。
しかし本人に悪意はなく、何事も「まぁ、そういうものか」と受け入れてしまう楽天的な性格の持ち主でもある。
最終的には王妃ではなく、実家の男爵領を継ぐ女男爵となる。
華やかな王都暮らしは諦めることになるものの、ギルバートという優秀な伴侶を得て、二人で領地を支えていく道を選ぶ。
世間知らずながら妙に肝が据わっており、周囲を呆れさせながらも憎めない愛されキャラクター。
ギルバート
現王太子の第一王子でありながら、王位継承順位は兄弟の中で最下位という、少々特殊な立場にある青年。
母親は王太子妃だが、一代男爵家の出身であるため、母方の後ろ盾を持たないギルバートは、王族として生涯を過ごすことができない。もともとは侯爵家の跡取り娘ヴィヴィアンと結婚し、彼女の家へ婿入りすることで貴族としての身分を維持する予定だった。
しかし貴族学院で出会ったアビーと恋に落ち、婚約を解消。王族としてではなく、アビーの男爵家へ婿入りする道を選ぶことになる。
王子として相応の教育を受けており、礼儀や政治、貴族社会の事情にも詳しい。人脈も広く、将来は女男爵となるアビーを支える伴侶として十分な能力を持つ。
一方で、アビーのあまりの世間知らずぶりにはしばしば呆れ顔を見せる。それでも彼女の楽天的な性格を理解し、現実的な知識を補いながら支えていく、穏やかで理性的な青年である。
華やかな王子の地位を失っても、愛する相手と共に生きる未来を選ぶ芯の強さを持っている。
ヴィヴィアン
侯爵家の跡取り娘として生まれた、才色兼備の高位貴族令嬢。
もともとはギルバートと婚約しており、彼が自らの家へ婿入りすることで、二人で侯爵家を支えていくはずだった。家柄、能力、将来性のいずれを取っても申し分のない令嬢であり、王族に代わって実務を担えるほど優秀な人物でもある。
ギルバートの母である王太子妃が王族としての仕事を十分にこなせないため、その負担の多くを側室が担っているという宮廷事情も、彼女のような真面目な貴族にとっては当然の知識。
アビーの無邪気な恋によって婚約を破棄されることになったものの、感情に任せて報復するような人物ではない。父親が男爵領への制裁を考えた際にも自ら説得し、制裁を取りやめさせている。
その後はギルバートの側近候補だった伯爵家の次男と結婚することになる。
アビーから見れば近寄りがたいほど洗練された貴族令嬢だが、その実、感情よりも現実を見据え、相手の事情まで考えて行動できる強さと寛容さを備えた女性である。