真実の愛の正しい処理方法

ライナルト・アーレルスマイヤー

ライナルト・アーレルスマイヤーは、かつて王国の筆頭公爵家を継ぐ立場にあった青年である。
幼い頃から婚約者オリーヴィアと共に育ち、家同士の結びつきによる政略婚を受け入れていた。しかし学院時代、男爵令嬢ユッテと出会い、婚約者以外の女性を愛するようになる。彼は不貞を働いたわけではなかったが、婚約者を裏切った事実から逃げることなく、自ら有責での婚約破棄を申し出た。慰謝料、賠償金、派閥再編に伴う損害を負担し、さらに廃嫡を願い出る。
しかし妹ローザリンデに「それは責任を果たしたことにはならない」と退けられ、アーレ男爵として祖父母の領地へ送られる。ユッテと共に使用人として働き、二十年をかけて借金を完済。
現在はその能力と誠実さを認められ、公爵家領地本邸の家令となっている。若き日の過ちを美化せず、愛を選んだ責任を生涯かけて果たした人物である。


オリーヴィア・ボールシャイト

オリーヴィア・ボールシャイトは、有力伯爵家の令嬢として育ち、幼い頃からライナルト・アーレルスマイヤーの婚約者だった女性である。 二人の婚約は家同士の結びつきを強める政略的なものだったが、長い年月を共に過ごしたことで、彼女はライナルトへ確かな情を抱いていた。だからこそ、彼から「愛する者が出来た」と告げられたときの傷は深かった。
しかし彼女は取り乱さず、婚約破棄を受け入れる。最後に「ライ、愛していたわ」と一筋の涙だけを残して去った姿は、彼女の誇り高さを象徴する。
その後、派閥第二位のバウムガルテン侯爵家嫡男と婚約し、侯爵夫人となった。20年後も過去を怨み続けることなく、ライナルトとユッテが責任を果たしたことを評価している。
感情に流されず、自らの尊厳を守りながら人生を切り開いた、気高く知性的な女性である。


マルガレーテ・アーレルスマイヤー

マルガレーテ・アーレルスマイヤーは、筆頭公爵家アーレルスマイヤー公爵家の令嬢であり、次代を担う女性である。血縁的にはライナルトの姪。
銀糸のような白金の髪と冬空を思わせる蒼い瞳、雪のように白い肌を持つ、近寄りがたいほどの美貌の持ち主。立ち居振る舞いは磨き抜かれ、周囲が自然と道を譲るほどの気品を備えている。
第五王子ループレヒトの婚約者だったが、彼女自身は王家から押し付けられた縁談と認識しており、王子に恋情を抱いてはいない。夜会で突然婚約破棄を宣言されても激昂せず、淡々と事態を処理する。
彼女の最大の特徴は、感情よりも状況を優先する冷静さと、公爵家当主としての責任感である。ループレヒトの発言が国家反逆につながると理解すると、個人的な恨みではなく公爵家への影響を最小限にすることを優先した。
冷徹に見えて実は非常に実務的で、次代の公爵として相応しい人物である。


ループレヒト・ベッケラート

第五王子ループレヒト・ベッケラートは、王族という身分に強い自負を抱く青年である。
王位継承順位は第14位、現王家において最下位であり、婚約者マルガレーテに婿入りする予定だった。しかし本人はその現実を理解せず、第四側妃である母から吹き込まれた「いずれ自分が王になる」という言葉を信じ、自身を次代の王と疑わなかった。
公爵令嬢であるマルガレーテより自分のほうが身分が高いと思い込み、婚約者としての義務も果たさず、公爵家からの忠告も無視していた。
学院でミリヤムと出会うと、彼女の「姉に虐げられている」という訴えを事実確認もせず信じ、彼女を守る英雄を演じるようになる。そして夜会の場でマルガレーテとの婚約破棄を宣言し、ミリヤムを「真実の愛の相手」「未来の王妃」と公言。結果として王位簒奪の意思を公衆の面前で示すことになった。
外見は華やかな王子だが、思い込みと自己中心性が悲劇を招いた人物である。


ミリヤム・ビュルス

ミリヤム・ビュルスは、柔らかな金色の髪と若葉のような翠の瞳、華奢な身体に豊かな胸元を持つ、儚げで可憐な少女である。
ループレヒトには「守ってやりたくなる少女」と映り、彼の庇護欲を強く刺激した。しかし彼女自身は、自分の出生と身分について重大な誤解を抱えている。父フォルカーから「自分は公爵令嬢であり、弟ニクラスが次期公爵になる」と教えられて育ったため、アーレルスマイヤー公爵家の正妻の娘であるマルガレーテを姉だと思い込んでいた。
実際にはビュルス子爵令嬢カトリンの私生児として届け出られた平民であり、貴族としての権利を持たない。それにもかかわらず、学院では身分を弁えない振る舞いを繰り返し、注意する親族や周囲の生徒を「嫉妬している」と解釈する。
マルガレーテへの劣等感と、自分こそ愛されるべき存在だという思い込みから、その婚約者であるループレヒトに近づいた。
可憐な外見と自己認識の乖離が、彼女という人物の大きな特徴である。