リュディヴィーヌ・ジョゼ・ド・デュドネ
デュドネ公爵家の令嬢にして、王太子グラシアンの婚約者。
三歳の頃にグラシアンと婚約し、幼い頃から共に学び、遊び、時には喧嘩をしながら十年以上の歳月を過ごしてきた。
前世の記憶を持つ転生者だが、この世界で生きる「リュディヴィーヌ」としての人格を主体としている。
聡明で冷静、礼儀を重んじる淑女でありながら、ただ受け身なだけではなく、自分の考えをはっきり持つ芯の強さも備えている。
突然現れた平民の少女フラヴィから、グラシアンを解放するよう迫られても感情的にならず、貴族と平民では結婚に対する価値観そのものが違うことを丁寧に説く。
グラシアンとは政略によって結ばれた婚約者でありながら、長い年月をかけて互いを理解し、信頼を育み、やがて恋と愛を育てた間柄。
彼を深く愛しているからこそ、その心を誰かに勝手に決めつけられることを何より嫌う。
穏やかな微笑みの奥には、愛する人と自分の未来を守る強さがある。
グラシアン
王国の王太子であり、リュディヴィーヌの婚約者。
幼い頃から王族としての責任を自覚しており、民を思い、努力する者を正当に評価する誠実な青年。
学院でも身分によって人を判断することなく、誰に対しても公平に接している。
穏やかな笑顔と柔らかな物腰を持つ一方、王太子として必要な場面では毅然とした態度を崩さない。
リュディヴィーヌとは三歳の頃から共に育ち、最初は親に決められた婚約者だったが、やがて友人となり、互いを支え合う理解者となり、いつしか唯一無二の存在として愛するようになった。
フラヴィから「本当は婚約が嫌なのだ」と一方的に決めつけられても、彼女をただ糾弾するのではなく、自分の意思を自らの言葉で伝える。
リュディヴィーヌとの関係を否定されることには強い怒りを見せるが、それすらも王族として冷静に抑えようとする人格者。
政略によって始まった婚約を、揺るぎない愛へと育てた本人でもある。
フラヴィ・ドロテ
希少な治癒魔法の使い手として、特別枠で王立魔術学院へ編入した平民の少女。
明るく人懐っこく、努力家で、治癒魔術師として民の役に立ちたいという強い志を持っている。
一方で、貴族社会の常識や礼儀には疎く、「学院では身分は関係ない」という教えを、学生同士の関係にもそのまま当てはめてしまうところがある。
グラシアンから笑顔を向けられ、治癒魔法の腕を褒められたことをきっかけに、彼が自分に特別な恋愛感情を抱いていると思い込むようになる。
「恋をしているから相手の気持ちが分かる」と信じ、本人の言葉よりも自分の想像を真実として受け止めてしまう。
ついにはリュディヴィーヌに婚約を解消して身を引くよう迫るが、グラシアン本人から明確に否定されることに。
自分の「幸せ」を相手にも押し付けていたことに気づき始めるものの、すぐに恋心が消えるわけではない。
善意と独善の境界で揺れる少女。
ティボー・ドルイユ
ドルイユ伯爵家の令息で、王太子グラシアンの護衛騎士候補。
幼い頃からグラシアンと親しく、王太子の人柄をよく知る側近候補の一人。
三人の中では比較的感情が表に出やすく、率直で行動力のある青年。
フラヴィがリュディヴィーヌに突然詰め寄った際には、身分や礼儀をわきまえない彼女を慌てて制止するなど、常識的な感覚の持ち主でもある。
グラシアンから幼い頃より何度も褒められてきた経験があり、彼が努力した者を誰であろうと評価する人物だと知っている。
そのため、フラヴィが「自分だけが特別」と主張するたびに、呆れながらも根気強く説明しようとする。
リュディヴィーヌにも親しく接しており、彼女とグラシアンが長い年月をかけて築いた関係をよく理解している。
今回の騒動では何度も胃を痛める苦労人となるが、二人を心から祝福する友人でもある。
レオンス・マスロン
マスロン侯爵家の令息で、王太子グラシアンの側近候補。
冷静沈着で思慮深く、感情に流されず状況を整理することを得意とする青年。
フラヴィが突然リュディヴィーヌへ詰め寄った際には、彼女の非礼を穏便に収めながら事情を説明しようとするなど、三人の中でも特に調整役としての立場を担っている。
グラシアンが臣下の努力を正当に評価する人物であることを自身の経験から理解しており、フラヴィの「自分だけが特別扱いされた」という主張にも冷静に反論する。
自らも試験で首席を取った際にグラシアンから称賛された経験があり、王太子の笑顔や褒め言葉が恋愛感情を意味するものではないことをよく知っている。
普段は何事にも動じない彼だが、フラヴィのあまりにも強烈な思い込みには思わず額を押さえることも。
グラシアンとリュディヴィーヌを幼い頃から見守ってきた、信頼できる友人兼側近候補。
サミュエル・ランドロー
ランドロー男爵家の令息で、王太子グラシアンの側近候補。
魔法や魔法陣の研究を好む知的な青年で、新しい魔法陣を完成させるなど研究者としての才能にも恵まれている。
三人の側近候補の中でも特に理屈を重視する性格で、感情よりも事実や客観的な根拠をもとに物事を判断する。
そのため、フラヴィが「グラシアンは自分を好きなはず」と主張しても、本人からの言葉がない以上は単なる思い込みだと冷静に捉えている。
フラヴィの治癒魔法には純粋な研究対象として興味を示しており、悪意なく「非常に興味深い」と評してしまうなど、少々空気を読まないところもある。
しかし、その一方で人の努力や才能を正当に評価する公平さを持つ。
恋愛についてはやや疎く、「恋とは魔法よりも理解が難しい」と評するほど。
淡々とした言動の中に独特の天然さがあり、張り詰めた場を思わぬ一言で和ませる人物でもある。