我が父を殺してお家乗っ取りしようとした叔父の末路

エリザヴェータ

シャムシュロフ侯爵家の令嬢にして、当主補佐を務める少女。まだ成人前の学院生でありながら、父母の突然の死という過酷な事態に直面し、屋敷の防衛と一族の安全確保を指揮することになる。
普段は穏やかで礼儀正しい貴族令嬢だが、いざという時には極めて冷静で、相手の言葉の矛盾を見抜く聡明さを持つ。
前世は21世紀の日本で一般的な事務職に就いていたが、その記憶は彼女の人格や常識の基盤にはなっているものの、特別な能力を与えるものではない。
婚約者である第四王子クリメントとは深い信頼関係で結ばれており、両親を失った悲しみの中でも彼の支えによって立ち続ける。
将来は王籍を離れ大公となるクリメントに嫁ぎ、大公妃となることが決まっている。
気丈に振る舞いながらも、愛する家族を失った一人の少女としての繊細さと悲しみを内に抱えている。


クリメント

ゼチュール王国の第四王子であり、王家騎士団第3部隊を率いる青年。
将来の王家騎士団長候補として高い能力を認められている一方、婚約者エリザヴェータには極めて優しく、彼女の心情を第一に考える包容力を持つ。
シャムシュロフ侯爵夫妻の死を知ると、王族として迅速に事態を把握し、第3部隊を派遣して事件の捜査と侯爵家の警護に当たる。
エリザヴェータのもとへ自ら赴いた際も、まず軍人や王子としてではなく婚約者として彼女を気遣い、兄アルセニーが帰国するまで屋敷に滞在して彼女を守ると申し出る。
アルセニーが帰国した後もエリザヴェータの悲しみに寄り添い、無理に立ち直らせようとはしない。
2年後、学院を卒業したエリザヴェータと結婚し、王籍を離れて大公となる予定である。
優美な王子としての気品と、鍛え上げられた騎士としての実力、そして一人の女性を守ろうとする深い愛情を併せ持つ人物。


アルセニー

シャムシュロフ侯爵家の嫡男であり、物語開始時点ではカヌーン魔導王国へ3年間の実務研修に赴いている青年。白皙の美貌を持つ知的な貴公子で、父から正式に後継者として登録されている。
父の死去を知らせる当主の指輪が自らの指へ転移したことで、異国にいながらシャムシュロフ侯爵家の新たな当主となる。妹エリザヴェータから両親の死を知らされた際には、一筋の涙を流しながらも、妹を気遣い、できるだけ早く帰国すると約束する。
第二王子に随行して実務研修を行うほど実務能力と将来性を評価されており、叔父シャプキン男爵とは対照的に、家を背負う責任感を持つ人物である。
帰国後は正式に侯爵位を継承し、婚約者シャルロッタとの結婚準備を進める。両親を失った悲しみを抱えながらも、妹を守り、侯爵家を次代へ繋ぐ新当主として歩み始める


シャプキン男爵

シャムシュロフ侯爵の弟にして、分家として小さな男爵領を与えられていた男。
兄に対して強い劣等感と爵位への執着を抱き、能力や人格の面からも本家を継ぐ資格がないと見做されていた人物である。兄夫婦を殺害すれば侯爵家を自分が乗っ取れると考え、野盗を装った刺客を雇って両親を襲撃させた。
しかし事件の発覚を恐れるどころか、侯爵夫妻の死を本家から正式に知らされるより前に、妻と息子、娘を伴って侯爵邸へ押しかけるという致命的な愚行を犯す。しかも、当主となったアルセニーの存在を知らず、エリザヴェータを追い出して自分が侯爵になれると思い込んでいた。
さらに息子はエリザヴェータを自分の妻にして虐げるつもりだったと口にし、娘も王子妃になれると思い込んでいた。
犯行を裏付ける魔法契約書が発見されたことで罪は明白となり、一家全員が捕縛され、爵位簒奪未遂に対する極刑として斬首された。