マリカ・アーヴァ
マリカ・アーヴァは、ヴィーッポラ侯爵家の嫡女にして、次期ヴィーッポラ侯爵となる女性。
長子であること、そして直系の血を引くことを重視するこの国において、彼女は生まれながらにして家を継ぐ立場にある。
物腰は柔らかく、言葉遣いも優雅だが、その内面には侯爵家当主に相応しい確かな判断力と現実を見る目を備えている。
政略結婚を特別な悲劇とは考えず、夫婦とはまず家と家を支えるビジネスパートナーであり、そのうえで信頼や情愛を育むものだと理解している。
ヴェリから「愛することはない」と宣言されても取り乱さず、むしろ彼の無知を淡々と分析するほどの余裕を見せる。
相手を罵倒することもなく、必要な場面では王国特殊法監督局へ迅速に連絡するなど、感情よりも合理性を優先する人物である。
穏やかな微笑みの奥には、侯爵家を守る者としての強さと揺るぎない自負がある。
ヴェリ・ウンタモ
ヴェリ・ウンタモは、海を越えた異国からニーニスト侯爵家へ養子として迎えられた青年。
もともとは婿入り要員として用意された人物ではなく、当初予定されていた養子が流行り病で亡くなったため、急遽その代わりとして王立魔導学院入学直前の年齢で迎え入れられた。
そのため、幼少期からこの国の貴族社会や特殊法を学ぶ機会を持たず、2年間の生活と学院教育を経ても母国の価値観を強く残していた。
マリカとの婚約後も、自分こそが将来の侯爵になると思い込み、彼女には「お飾りの妻」になってもらい、恋人のオーナを本当の妻にするという独善的な計画を語る。学院時代に出会ったオーナを「真実の愛」の相手だと信じて疑わず、彼女からの忠告さえ自分に遠慮しているのだと都合よく解釈してしまう。
根底には異国で培った常識があるものの、他人の説明を聞かず、自分に都合のよい解釈を繰り返したことが彼の最大の問題だった。最終的には特殊法違反により婚約破棄となり、母国へ強制送還される。
オーナ・テルヒッキ
オーナ・テルヒッキは、レクネン男爵家の令嬢で、王立魔導学院時代にヴェリと出会った女性。
下位貴族の令嬢としては優秀で、周囲からも将来を期待される人物だったが、恋愛に関しては少々危うい一面を持っている。惚れっぽいうえ、一度恋に落ちると周囲が見えなくなり、特に男性を見る目が悪いことで知られていた。
ヴェリとの関係でも、自分は正妻ではなく愛人の立場で構わないと考え、マリカに申し訳ないという気持ちから控えめな立場を受け入れようとしていた。しかしヴェリは、彼女のその慎ましさすら自分に対する献身として都合よく解釈してしまう。
オーナ自身はこの国の貴族社会の常識を理解しており、ヴェリに何度も説明していたものの、彼の思い込みを最後まで解くことはできなかった。
婚約破棄後にはマリカへ謝罪に訪れ、自分がヴェリの誤解を正せなかったことを詫びている。その経験を機に自身の「駄目男好き」をようやく自覚し、恋愛から距離を置いて仕事に生きる決意をする。
現在は王国特殊法管理局への入局を目指して勉学に励んでいる。