ベティーナ
アッヘンヴァル王国の第一王女。王妃を母に持つ王女で、異母弟である第一王子クリストフとは同い年。王国では男子相続が優先されるため、自身が王位を継ぐ立場にはないものの、王族としての責任感と高い判断力を備えている。弟が次期国王となること自体には異論を持っていないが、本人の言動を見ていると「このまま国を任せて大丈夫なのか」と常々頭を悩ませている苦労人。
物事を感情や肩書きだけで判断せず、常識と制度、周囲への影響を冷静に考える現実主義者。聖女という肩書きにも盲目的に敬意を払わず、平民である聖女を王子とその側近たちだけに世話させるという異常な人選にいち早く疑問を抱いた。弟の婚約者であるエーディトや側近たちの婚約者とも親しく、彼女たちとともに王家の実務を支える存在となっている。
弟を呆れながらも見捨てることはなく、国王として成長できるよう導こうとする姉。卒業後は公爵家の令息と結婚し、准太后として弟クリストフの摂政を務める。表立って王位を継ぐことはなくとも、実質的に王国を支える「影の女王」ともいえる人物である。
エーディト
クリストフ第一王子の婚約者である公爵令嬢。王族の婚約者にふさわしい教養と判断力を備え、将来の王妃として王子を支える立場にある。クリストフとは相思相愛の関係であり、婚約が政略によるものでありながらも、二人の間には確かな信頼と愛情が育っている。
ベティーナとは義姉弟の婚約者という関係になるが、単なる未来の王妃としてではなく、ベティーナとともに王家を支える同志として行動している。クリストフやその側近たちが聖女の世話係に選ばれた件では、ベティーナと同じくその不自然さを即座に理解し、貴族社会の常識や男女の付き合い方について婚約者たちに説明する役割も担った。
特に、正教会が認定した「聖女」という肩書きだけを理由に特別扱いすることには冷静な姿勢を見せる。聖女だから尊いのではなく、実際に何を成したのかを見るべきだという現実的な考え方の持ち主でもある。
将来は王妃としてクリストフを支えるだけでなく、ベティーナや側近の令嬢たちと協力して王国の運営を担うことになる。少々頼りない婚約者を呆れながらも愛し、王として成長するまで支える、しっかり者の未来の王妃である。
クリストフ
アッヘンヴァル王国の第一王子。異母姉ベティーナとは同い年で側室を母に持つ。男子相続を優先する王国の制度によって次期国王の最有力候補となっている。婚約者は公爵令嬢エーディトで、彼女を心から大切にしている一途な青年。側近にはフィリベルト、ゲレオン、ハーラルトの三人がおり、彼らとは学院生活をともにする親しい仲である。
一方で、王子としての頭の回転や危機察知能力にはやや不安があり、周囲からは密かに「この人を国王にして大丈夫なのか」と心配されている。聖女が現れた際にも、彼女の世話係として自分と側近たちが選ばれたことを当初は何の疑問も持たず受け入れていた。しかし、ベティーナたちから貴族社会の常識や状況を説明されると、時間はかかるもののきちんと問題点を理解できる素直さを持っている。
父王が聖女を次期王妃にしようとしていると知った際には、婚約者エーディトとの関係を守ろうと真っ先に抗議へ向かおうとするなど、彼女への愛情は非常に深い。決して有能な天才型ではないが、周囲の助言を受け入れ成長できる人物。立太子後、学院卒業と同時にエーディトと結婚し、正式に国王となる。
ラーレ
女神教正教会によって「聖女」と認定された平民の少女。光属性の魔法適性を持っていたことから聖女とされ、正教会の意向によって貴族学院への編入が計画された。しかし本人は聖女としての使命や国民への奉仕よりも、自分が特別な存在として扱われることを望むようになってしまう。
実は異世界転生者で、聖女に認定された頃に前世の記憶を取り戻した。前世で見聞きした乙女ゲームや創作作品の知識から、「自分は乙女ゲームのヒロインなのだ」と思い込み、王子やその側近たちを攻略対象だと認識。男性神官を自ら指名したうえ、貴族学院での世話係にも王子とその側近を希望するという、貴族社会から見れば極めて非常識な行動に出る。
しかし、クリストフたちは婚約者たちを深く愛しており、ラーレの望む逆ハーレム展開が始まることはなかった。むしろ彼女の要求によって正教会への疑念まで強まり、学院への編入も取り消されることになる。
後に聖女の地位を辞し、下町の定食屋の女将となった。紆余曲折の末に身の丈に合った生活の大切さを知り、穏やかな晩年を送ったとされる。壮大な「ヒロイン物語」を夢見た少女が、最後には自分自身の人生を堅実に歩むようになった人物である。