王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

アストリット・ベーレンドルフ

ベーレンドルフ侯爵家の一子にして、次期侯爵となる少女。
幼い頃にデングラー侯爵家次男ウーヴェと婚約したが、成長するにつれて彼が自分の立場と婚約の意味を理解していないことに気付き、次第に不信感を募らせていく。
聡明で現実的、そして非常に自立心が強く、自らが将来家を継ぐことを当然の責務として領政について学ぶ一方、ウーヴェが騎士科へ進んだことを婚姻前契約への違反と捉えるほど、物事を合理的かつ冷静に判断する人物である。
王女ヤスミーンとウーヴェの関係を巡る噂では、自らが「悪役令嬢」に仕立て上げられたことを問題視する。
しかし感情的に騒ぎ立てるのではなく、家臣や寄子に適切な対応を取らせ、最終的には王家そのものへの不信へと問題を昇華させる。
華奢で優美ながら姿勢は凛としており、冷静な眼差しの奥に強い意志を宿す。


ウーヴェ・デングラー

デングラー侯爵家の次男で、アストリットの元婚約者。
10代前半でアストリットと婚約し、当初は婚約者として茶会や夜会に参加し、贈り物も用意するなど、それなりに務めを果たしていた。
しかし学院入学を機に「次男で継ぐ爵位がないから近衛騎士になり、自力で爵位を得る」と騎士科へ進学。
そもそも将来アストリットの入り婿となる予定だったことを理解していない節があり、彼女からの評価を大きく落とす。
その後、ヤスミーン王女直属の近衛隊に入隊し、王女との距離を急速に縮める一方、アストリットとの茶会や夜会を度々キャンセルし、婚約者としての義務を放棄していく。
本文では「見た目だけは完璧な貴公子」「麗しの騎士」と評されるほど容姿に恵まれているが、その外見とは裏腹に、身分や制度への理解が浅い。
最終的には婚約破棄、実家からの除籍を経て、ようやく自分が正式な近衛騎士ですらなかったことを知る。


ヤスミーン王女

現国王の娘で、物語においてアストリットとウーヴェの婚約問題を大きく動かす王女。
本文では「可憐な王女殿下」「見た目だけは可憐な姫」と表現され、愛らしく華やかな容姿を持つ人物として描かれている。
母親の身分が低く、王妃や王太子側の派閥から疎まれているため、姉妹の王女たちとは異なり婚約者が決まっていない。
そんな彼女がウーヴェを自らの直属近衛隊に置いたことから、二人の間に「真実の愛」があるという噂が広がり、その恋物語を演出するためアストリットが悪役として扱われるようになる。
しかしヤスミーン直属近衛隊は国王の近衛騎士団ではなく、あくまで王女の私兵である。
ウーヴェとの関係や噂を王家が放置した結果、単なる恋愛沙汰は筆頭侯爵家と王家との信頼関係を揺るがす政治問題へ発展した。
最終的には最北の小国の国王の十三妃として嫁ぐことになり、私兵たちも同行する。


クリストハルト・フェルゼンシュタイン

フェルゼンシュタイン大公家の三男で、アストリットの新たな婚約者。
ウーヴェとの婚約破棄に至る一連の騒動において、フェルゼンシュタイン大公家はアストリットとベーレンドルフ侯爵家を支援し、ヤスミーン王女を諫めたり、王女直属近衛隊の解体に尽力したりしている。
その家の一員であるクリストハルトもまた、アストリットに対して理解を示す人物として描かれる。
二人の婚約は既に国王の承認を得ており、王家からも正式に認められたもの。
しかし、その婚約を知らない第二王子が二人の茶会へ突然割り込み、クリストハルトを邪険に扱うという場面では、彼は感情的に反発するのではなく、アストリットの追及を静かに見守り、彼女の言葉に苦笑しながら同意している。
華やかさよりも知性と穏やかな余裕を感じさせる、大公家らしい洗練された人物。


第二王子

現国王の息子で、本文では名前が明かされていない王子。
アストリットとクリストハルトの婚約が国王によって正式に承認されているにもかかわらず、その事実を把握していないまま二人の茶会へ参加する。
しかも自分が招かれざる客であるという認識がなく、クリストハルトを邪険にしながら、自分の有能さを示してアストリットに婚約者として売り込もうとする。
アストリットから王家とヤスミーン王女の問題について追及されると、当初は何が問題なのか理解していなかったが、ベーレンドルフ侯爵家が王家への不信から王城の公職を退くと告げられ、事態の重大さを悟る。
外見は申し分ないものの、姿勢や表情には自信過剰さと「自分なら相手に選ばれる」という思い込んでいる人物。