ベアトリーチェ・ジリオーラ・インファシェッリ
ファルツォーネ公爵家の長女であり、第一王子ダニエーレと第二王子エルメーテ、二人の王子の婚約者筆頭候補として育てられた公爵令嬢。幼いころから王族に嫁ぐことを前提とした高度な教育を受け、王子妃教育のみならず、将来の王妃となるための教育まで施されている。
前世の記憶を持ち、ここが前世で遊んだ恋愛シミュレーションゲームに酷似した世界だと知っているが、この世界を単純なゲームとは考えず、そこで生きる人々を現実の人間として受け止めている。
個人的にはエルメーテを慕い、彼からも想いを寄せられていたため、ダニエーレの婚約者候補から外れ、エルメーテの妃となることを望んでいた。
やがてアンジェリカとダニエーレの関係が進展したことで願いは叶い、エルメーテと結婚。
王妃教育を終え、二人の男児を育てながら王子妃としての公務も着実にこなす。
アンジェリカに対して当初は同情と支援の意思を持ち、彼女の淑女教育にも関わろうとしたが、拒絶されて以降は距離を置くようになる。
冷静で現実的、責任感が強く、王侯貴族の婚姻と政治を感情だけでは捉えない人物である。
その一方で、前世の価値観からアンジェリカの置かれた境遇に理不尽さを感じるなど、単純に冷徹な人物ではない。
隣国との戦争危機では外交交渉を主導して危機を回避し、のちにエルメーテが即位すると唯一の妃として王を支える。
三男二女に恵まれ、王家を支える母としても生きる。
アンジェリカ
王立イルミナーティ貴族学院で下働きをしていた平民の少女で、ゲームでは主人公にあたる存在。健気で無邪気、天真爛漫で愛らしく、一度愛した相手には一途に尽くす性格をしている。
学院で第一王子ダニエーレと出会い、身分を越えて惹かれ合うようになる。
貴族社会の常識や身分制度への理解が乏しく、平民としての価値観のまま王族であるダニエーレに接し続けたため、周囲からは無礼と見なされることも多かった。
しかし本人に悪意はなく、ただ愛する人のそばにいたいという純粋な思いから行動している。
ダニエーレとの婚約が認められると家族と縁を切り、王宮で淑女教育を受け始める。
生まれてから十八年間身につけてきた平民としての生活習慣を変えることは容易ではなく、教育には苦労したものの、ダニエーレのそばにいるために努力を重ね、五年をかけて下位貴族として通用する程度の礼儀作法を身につけた。
やがて伯爵家の養女となり、正式にダニエーレの王子妃となる。
しかし、王族として必要な責務や政治的感覚を十分に理解できないまま、夫婦二人の愛を何よりも優先し続ける。
王宮では孤立を深め、ダニエーレ以外に信頼できる味方を得られなかった。
外交上の重大な失態によって国を戦争寸前まで追い込んだ末、夫とともに廃嫡・幽閉され、毒杯を受けて生涯を終える。
最期まで自分たちの愛がなぜ罪となったのかを理解できなかった少女である。
ダニエーレ・ラウロ・ラフォレーゼ
王太子の長男であり、王太子妃を母に持つ第一王子。
幼いころから王位継承者の有力候補として育ち、能力そのものは弟エルメーテに著しく劣るわけではなく、周囲の補佐があれば国王の責務を担える程度の資質は備えていた。
しかし、平民のアンジェリカと出会い、身分を越えた恋に落ちたことで、その人生は大きく変わる。
アンジェリカとの関係を「真実の愛」と信じ、王位継承権を保持したまま彼女を妃に迎えることを望み、国王や王太子である父を説得し続けた。
最終的に婚約は認められたものの、アンジェリカへの過剰な庇護と周囲への敵意を強めていく。
彼女が教育に苦しめば教育係を責め、泣けば周囲を責めるなど、アンジェリカに非がないと決めつけることで二人は次第に王宮内で孤立していった。
幼馴染だったベアトリーチェや、かつては支えようとしていた異母弟エルメーテまで敵視するようになり、自分が王太子になれないのは周囲の陰謀だと考えるようになる。
やがて外交上の重大な失態によって国を危機に陥れ、王位継承権を剥奪されて廃嫡。
なおも事態の重大さを理解できず、最終的にはアンジェリカとともに幽閉され、毒杯によって命を落とす。
愛を貫こうとした一途さが、王族としての責務を見失うことへとつながった人物である。
エルメーテ・ルーカ・ラフォレーゼ
王太子の第二子である第二王子で、第一王子ダニエーレの異母弟。
ゲームには存在しなかった人物だが、この世界ではベアトリーチェと深く関わり、彼女と相思相愛となる。
幼いころから王族としての責務を理解して育ち、当初は兄ダニエーレとも仲が悪かったわけではなく、王弟として兄を支えるつもりでいた。
ベアトリーチェとは互いに好意を抱きながらも、王侯貴族の婚姻が個人の感情だけでは決まらないことを理解しており、彼女が兄の婚約者候補となっていた時期には、その立場を受け入れていた。
しかし、アンジェリカとの恋に傾倒したダニエーレが次第に自分たちを敵視するようになると、エルメーテもまた王家の将来を担う立場として兄と距離を置くことになる。
ベアトリーチェと結婚した後は、王子妃となった妻とともに国務を担い、外交を中心とした公務に携わる。
ダニエーレが廃嫡された際には、その後始末や王家内部の整理にも関わり、兄を完全に見捨てることはせず、「このままにしておくことも出来ぬ」と案じる一面も見せる。
やがて兄の廃嫡に伴って正式に王太子となり、父王の退位後に即位。
ベアトリーチェを唯一の妃として迎え、三人の息子と二人の娘をもうける。
王となった後も家族と王弟たちの支えを得ながら安定した治世を築き、長男を次代の王太子として育てていく。
兄とは対照的に、個人の幸福と王族としての責務を両立させた人物である。