エヴリーヌ・フィゾー
エヴリーヌ・フィゾーは、デマレ男爵家の令嬢にして、『ドキドキ魔法学園恋物語』のヒロインを自認する少女。
平民育ちの庶子だったが、父の正妻の死をきっかけに男爵家へ迎えられ、魔法学園へ入学する。
その門をくぐった瞬間、前世で愛していた乙女ゲームの世界だと気づき、自分こそが物語の主人公なのだと確信する。
明るい蜂蜜色の髪と大きな青い瞳を持つ、愛嬌たっぷりの美少女で、攻略対象たちからも好意を寄せられる華やかな存在。
しかし、貴族社会の身分制度や権力関係には疎く、現代日本的な感覚と「ゲームの設定」に強く囚われている。
ジョフロワとの婚約破棄をゲームのベストエンドだと思い込み、王子妃として贅沢な生活を送れると信じていた。
ところがゲームのスタッフロールの先には、現実の貴族社会が待っていた。
自分が「ヒロイン」であるという思い込みが崩れた後、彼女は初めて、自分たちの行動が現実にどのような結果をもたらしたのかを知ることになる。
ジョフロワ
ジョフロワは、王国の第二王子であり、エヴリーヌが攻略した『ドキドキ魔法学園恋物語』のメイン攻略対象。
淡い金髪と鮮やかな青い瞳、長身で均整の取れた体格を持つ、誰もが一目で王子と認める華やかな美青年である。
社交的で外国語にも堪能、女性への態度も甘く、エヴリーヌを心から愛している。
彼女を虐げていると信じたブリュエットから守るため、卒業パーティの場で父王や兄である王太子にも相談せず、婚約破棄を宣言する。
しかし彼の婚約は王家とアルカン侯爵家の関係を維持するための王命によるものであり、その独断は王族として重大な越権行為だった。
さらにブリュエットを貴族籍から外し国外追放にしようと考えていたことも判明する。
結果として王籍と王位継承権を失い、平民となる。
それでもエヴリーヌへの愛情は揺らがず、王命によって彼女との結婚を許される。
王子という肩書を失った後も、自分が彼女を幸せにできると信じているが、家事も生活能力も乏しく、現実の厳しさに直面することになる。
ブリュエット・シュラール
ブリュエット・シュラールは、アルカン侯爵家の令嬢にして、ジョフロワ第二王子の元婚約者。
ゲームの中ではエヴリーヌを苦しめる「悪役令嬢」として描かれていた人物だが、現実の彼女はそのイメージとは大きく異なる。
艶やかな黒髪と深い紫色の瞳を持つ、気品と知性を兼ね備えた非常に美しい令嬢で、高位貴族として完璧に近い立ち居振る舞いを身につけている。
エヴリーヌに対して行っていたのも、貴族令嬢として相応しくない言動への叱責や助言に過ぎず、所持品の盗難や破壊といった嫌がらせには一切関与していなかった。
ところがエヴリーヌが自分を乙女ゲームのヒロインだと信じたことで、ブリュエットは一方的に「悪役令嬢」の役割を押しつけられる。
卒業パーティではジョフロワから突然婚約破棄を宣言されるものの、周囲の高位貴族たちは彼女の側に集まり、その名誉を守ろうとする。
しかも本人は以前からジョフロワを好ましく思っていなかったため、結果的にはジョフロワ有責で婚約を解消できたことを喜んでいる。
ゲームの悪役という虚像と、現実の理性的で穏やかな侯爵令嬢との落差が、彼女最大の魅力である。