ロスヴィータ・アルタウス
ロスヴィータ・アルタウスは、アルタウス伯爵家の令嬢であり、本作の語り手。
スヴェン・ビットナーとは、アルタウス領の産物を王都へ運ぶ街道整備を有利に進めるという、両家の利害を目的とした政略婚約を結んでいた。
本人もその関係を恋愛とは考えておらず、婚約破棄を告げられた際にも取り乱すことなく、正式な手続きを両家の当主同士で行うよう求めるなど、極めて冷静かつ現実的に対応する。
領地経営や家同士の契約、貴族に課せられた法律についても十分な知識を持ち、スヴェンとウーテの婚前交渉が重大な罪に当たると察した際には、躊躇せず父へ報告した。
自分が傷つくことよりも家や社会の秩序を優先する人物であり、感情を抑制して責任を果たす強さを持つ。
その一方で、義母の悲嘆には寄り添い、事件によって生じた家族への影響を案じるなど、決して冷酷な人物ではない。
事件後も謹慎と領地返上を受け入れ、やがて侯爵家の次男と婚約・結婚し、四男三女に恵まれる。
スヴェン・ビットナー
スヴェン・ビットナーは、ビットナー子爵家の三男で、ロスヴィータ・アルタウスの元婚約者。
両家の利害によって結ばれた婚約により、将来はアルタウス伯爵家へ婿入りする立場にあった。
しかし婚約期間中、ロスヴィータの義妹であるウーテ・ディーツと親密な関係になり、彼女を妊娠させる。
さらに、その事実を隠すことなくロスヴィータの前で婚約破棄を宣言し、ウーテとの結婚を望むようになる。
ロスヴィータが淡々と婚約解消の手続きを求めると、それを「可愛げがない」と非難し、自分たちは既に「身も心も結ばれている」と主張するなど、自身の行動がどれほど重大な問題を引き起こすのか理解していない。
貴族に適用される婚姻法についても十分な認識がなく、父親から事情を確認された際にもウーテとの間に子供がいることを堂々と明かしてしまう。
検査によって婚前交渉が確認された後も罪の重大さを理解できないまま連行され、取り調べを受けた末に処刑された。
自身の恋愛感情を優先し、貴族として求められる責任や法への理解を欠いたことが、本人だけでなく実家にも大きな結果をもたらすこととなった。
ウーテ・ディーツ
ウーテ・ディーツは、ロスヴィータの義母の連れ子であり、ディーツ男爵家の籍を持つ令嬢。
母の再婚によってアルタウス伯爵家で暮らすようになったが、養子縁組はされておらず、アルタウス家の娘ではなかった。
スヴェン・ビットナーと親密な関係になり、彼との間に子供を身ごもる。
スヴェンがロスヴィータとの婚約を破棄すると宣言した際には、ロスヴィータを「お姉様」と呼び、自分はスヴェンを愛していると訴え、身を引いてほしいと求める。
自分たちの関係を純粋な恋愛として捉えており、それが貴族婚姻法に違反する重大な罪であることを理解していない。
検査によって婚前交渉が明らかになった後も、自分が処罰されるとは考えていなかった様子で、スヴェンとともに拘束されるまで事態の深刻さを認識できなかった。
事件後、ウーテ自身は成人していたためアルタウス家には教育上の責任がないと判断された一方、実家であるディーツ男爵家は教育責任を問われることとなった。
ウーテは出産まで牢獄で生かされ、子供を出産した後、スヴェンと同じく処刑された。
彼女の行動は本人だけでなく、母や祖父母を含む周囲の人々にも大きな影響を及ぼした。