フィーリャ
公爵家の令嬢で、皇太子プリンチペの婚約者。
幼い頃から未来の皇后となるべく徹底した教育を受け、政治・領地経営・貴族としての責務を理解した聡明な女性。
三代続く「真実の愛」による婚約破棄騒動の被害者となるが、今回も冷静に状況を受け止め、アーヘラの証言だけで作られた稚拙な冤罪を意に介さない。
婚約破棄後は父から公爵家の後継者に指名され、女公爵となる道を歩む。
自身の経験から、女性が家の当主となる女系相続の可能性に着目し、皇后・皇太后たちとともに帝国の制度改革を進めるきっかけを作った。
華やかで可憐な外見とは裏腹に、現実を冷静に見据える為政者としての気質を持つ。
これまで女性だけに求められてきた「愛される努力」という価値観にも疑問を抱き、女性自身が相手を選ぶ時代の到来を喜ぶ、改革の象徴ともいえる存在。
レジーナ
帝国の皇后であり、現皇帝の妻。
次代の皇帝を支える未来の皇后として、若い頃から女帝にも等しい徹底した政治教育を受けた才女。
実際には皇帝よりもはるかに多くの政務を担っており、処理済みの書類に判を押すだけの夫に代わって帝国の実務を取り仕切る、実質的な為政者である。
夫の「皇帝は孤独である」という発言に内心で激怒するなど、気丈で責任感が強い一方、夫や子供を完全に見捨てる冷酷な人物ではない。
皇太子プリンチペの冤罪断罪騒動では、皇室を代表してフィーリャに謝罪し、愚かな息子を廃嫡する決断も下す。
モナルカ皇太后とは苦労を分かち合う同志であり、フィーリャたち若い世代を導く立場でもある。
女系相続への転換を支持し、帝国の未来を担う改革者の一人となる。
モナルカ
先代皇帝の皇后にして、現皇帝の母、そして現皇后レジーナの姑にあたる皇太后。
先々代皇帝による皇族粛清という過酷な時代を生き抜き、政治能力に乏しい夫に代わって帝国を実質的に支えた歴戦の為政者である。
夫との間にもうけた子が現皇帝ただ一人だったため、皇位継承問題に長く苦労してきた。
現皇帝が即位した後も、皇后レジーナとともに政務を支え、皇族の存続を優先して愛妾制度まで認めるなど、徹底した現実主義者でもある。
ただし、夫や息子の「皇帝だからこそ孤独なのだ」という言い訳には内心呆れ返っている。
三代続いた「毒婦と皇子の断罪茶番劇」を経験したことで、次代を担う女性たちの教育にも力を注いできた。
フィーリャの提案した女系相続に可能性を見出し、マレカの即位と帝国の大改革を後押しする人物。
マレカ
現皇帝とレジーナ皇后の長女で、帝国初の女帝となる第一皇女。
プリンチペの廃嫡によって皇位継承者となり、女系相続へと移行する帝国の新時代を象徴する存在となった。
両親や祖母たちが経験してきた「皇子が毒婦に惑わされ、婚約者を冤罪で断罪する」という悲劇とは無縁の立場から、女性が皇位を継ぐことを当然のものとして受け入れる世代に属する。
幼い頃から帝国の次代を担う者として教育され、母レジーナや祖母モナルカらが築いてきた政治的基盤を受け継ぐ。
彼女の即位は単なる皇位継承ではなく、帝国が原則として女系相続を採用する歴史的転換点となった。
即位後はマレカ一世として帝国中興の祖と称され、三代続いた皇室の問題を終わらせ、新しい貴族制度と男女関係を定着させた女帝として後世に名を残す。
プリンチペ
帝国の皇太子であり、レジーナ皇后の息子、マレカの兄。
幼少期はそれなりに優秀な皇子として育てられていたが、学院で平民のアーヘラと出会ったことで一変する。
「真実の愛」に目覚めたと称して婚約者フィーリャを一方的に悪者に仕立て上げ、夜会の場で婚約破棄と断罪を宣言する。
しかし、その罪状はアーヘラの証言を元にした幼稚な内容ばかりで、周囲からは三代続く恒例の茶番として冷めた目で見られていた。
さらに皇太子として与えられた公費や婚約者のための予算までアーヘラへの贈り物などに浪費しており、廃嫡時には莫大な借金を抱えていた。
皇位継承権と王籍を剥奪され、アーヘラとともに帝国から追放される。
彼の愚行は結果として、帝国の女系相続への転換を決定づける最後の一押しとなった。
アーヘラ
プリンチペ皇太子の「真実の愛」の相手となった平民女性。
学院で皇太子と出会い、彼を夢中にさせることでフィーリャとの婚約を破綻させる。
しかし、彼女が語ったフィーリャへの嫌がらせの数々は、上位貴族の間ではあまりにも幼稚な内容であり、三代続く冤罪断罪劇の定番となっていた。
アーヘラ自身がどのような意図でプリンチペに近づいたのか、あるいは何らかの特殊な力が働いていたのかは作中でも明確にはされていない。
ただし、過去の「毒婦」たちと同様、皇族という極めて高い身分の男性を篭絡し、その寵愛によって莫大な利益を得ていたことは確かである。
プリンチペの廃嫡に伴って彼女も皇太子妃となる道を失い、贈られた品々や借金を抱えたまま彼とともに追放されることになる。
彼女の登場と敗北が、帝国の長年の制度そのものを変える契機となった。