伯爵夫人(エピソード2)
侯爵家に生まれ、王家御用達の一流ブティックまで経営する、才色兼備の伯爵夫人。
困窮した伯爵家を救うため、莫大な資産を持参金と援助金として投入して嫁いだ。
彼女が求めていたのは贅沢な暮らしそのものではなく、自らの事業にとって価値ある伯爵領の絹を確保し、同時に投資した財産を守ることだった。
しかし結婚式では夫が幼馴染のもとへ駆けつけ、新婚初夜まで放棄。
翌朝には妻である自分を差し置いて幼馴染を正妻の席に座らせるという屈辱を受ける。
それでも一週間は様子を見るという冷静さを見せ、改善がないと判断すると即座に反撃。
伯爵邸そのものが自分の所有物であること、伯爵家の生活費も自分の資産から出ていることを突きつけ、居候を追放し、使用人まで一新した。
冷徹に見えて実は合理的なだけであり、義両親が困窮すれば支援する覚悟も持つ。
後に夫との間に七人の子をもうけ、伯爵領の絹産業と自身のブランドを発展させ、領地を豊かに導いた女主人である。
伯爵(エピソード2)
困窮した伯爵家の跡取りとして、侯爵令嬢を妻に迎えた青年。
容姿は整っており、根は悪人ではないものの、裕福な家庭で育ったため世間知らずで、幼馴染の女性に対して極端に甘い。
幼いころから妹同然に育った彼女を庇護することが当然だと思い込み、結婚式の最中でさえ体調を崩した幼馴染のもとへ駆けつけ、新婦を放置するという致命的な失態を犯す。
披露宴にも戻らず、新婚初夜まで無視したうえ、翌朝には妻の席に幼馴染を座らせる始末だった。
しかし伯爵家の実情と、幼馴染の贅沢によって膨らんだ借金を知ったことでようやく目を覚ます。
妻から突きつけられた財産関係の事実を理解し、自らの無礼を謝罪。
その後は妻を立て、領地経営にも真面目に取り組むようになる。
最終的には妻との間に三男四女をもうけ、妻に尻に敷かれながらも円満な家庭を築く、憎めないがかなりの大馬鹿者である。
幼馴染の女性(エピソード2)
伯爵夫人の夫が幼少期から「妹同然」として可愛がってきた、伯爵家の居候。
義母の親友の忘れ形見という理由で引き取られ、伯爵家では病弱で可憐な少女として過剰な庇護を受けて育った。
外見は非常に愛らしく、華奢で儚げな美少女。
その一方で、自分が伯爵家で特別扱いされることを当然と思い、新たに嫁いできた妻に対しても遠慮がない。
結婚式では花嫁以外が避ける白いドレスを着用し、式の最中に倒れて夫を呼び寄せ、披露宴でも彼を独占した。
結婚後も伯爵邸に残るつもりでいたが、伯爵家の財産の大半が妻によって支えられていることを知ると、その立場を失う。
領地へ移された後も王都への帰還を望み、妻の夫や護衛騎士に近づこうとする。
しかし最後には幼い長男への暴行未遂を起こし、投獄されたうえ領地追放となった。
美貌と甘え上手な性格だけでは人生を維持できないことを身をもって知ることになる。
伯爵夫人(エピソード3)
王家の教育係を代々務める名門子爵家の令嬢。
祖父は国王の教育係、父は王太子の教育係、母は王妃の腹心として王太子妃の妃教育を担い、自身もその助手として研鑽を積んできた。
つまり、単なる貴族令嬢ではなく、王家から絶大な信頼を寄せられる教育者である。
伯爵家へ嫁いだ彼女を待っていたのは、夫が妹同然に溺愛する没落男爵家の少女だった。
夫から少女を「妹」と聞かされた彼女は、その言葉を逆手に取る。
「妹ならば自分の妹たちと同じ教育を受けさせる」と宣言し、礼儀作法、社交、ダンスなど一流の令嬢教育を施していく。
表向きは慈愛に満ちた姉を演じながら、夫の愛人願望を巧みに牽制し、少女自身にも現状を理解させる。
結果として少女は王宮で行儀見習いを経験し、自力で良縁を見つけて結婚。
夫については数々の不貞と領地収入横領を理由に療養名目で領地へ幽閉した。
知性と品格、そして策略を兼ね備えた女性である。
伯爵(エピソード3)
伯爵家唯一の跡取りとして育った青年で、主人公の夫。
幼いころから家に引き取られた没落男爵家令嬢を妹同然に可愛がっているが、実際には彼女を将来の愛人にしたいという身勝手な願望を抱いている。
外見は整った美男子で、優しげな雰囲気を持つ一方、精神的には非常に甘く、女性に対して節度がない。
妻に対して幼馴染を優先し続け、さらに複数の愛人を囲い、領地収入まで横領するなど、伯爵としての責任も果たさなかった。
妻が幼馴染を「妹」として教育し始めた際には、彼女を虐めていると誤解して何度も妻を叱責する。
しかし妻の巧みな言葉に簡単に納得させられてしまう程度には単純でもある。
最終的には不貞と横領の責任を取る形で領地に幽閉され、幼い息子へ爵位を譲ることになった。
物語上では、見た目は立派な貴族青年でありながら、中身が伴わない「お坊ちゃん」の典型として描かれている。
幼馴染の少女(エピソード3)
没落した男爵家の令嬢で、幼いころから伯爵家に引き取られ、伯爵家嫡男の幼馴染として暮らしてきた少女。
14歳という若さながら非常に愛らしい容姿を持ち、病弱で可憐な少女として伯爵家ではお姫様同然に扱われていた。
彼女自身も伯爵家嫡男との結婚を夢見ており、妻の座を狙っている。
しかし主人公との結婚後、彼女が「妹」ならば相応の教育を施すと言われ、礼儀作法から社交術まで徹底的な令嬢教育を受けることになる。
当初は苛められていると夫に泣きついていたものの、半年ほど経つと、それまでの環境そのものに疑問を抱き始める。
さらに主人公の兄や従弟から本物の紳士を学び、夫への幻想も薄れていく。
やがて王宮で行儀見習いをする機会を得ると、自分自身の力で近衛騎士との良縁を掴み取った。
主人公に育てられたことで、庇護されるだけの「居候」から、自分の人生を自分で選べる貴婦人へ成長した少女である。