イディオフィリア=レヴィアス・アロイス・フォン・フィアナ
イディオフィリアは、フィアナを旅する若き冒険者であり、血盟【トリスケリオン】の盟主を務める青年である。
本人は自らを田舎から出てきた普通の冒険者だと思っているが、その立ち居振る舞いには隠しきれない気品があり、王侯貴族を思わせる優美な所作を見せる。
実は20年前の乱で殺されたとされる先王の王子であり、王位継承者として秘匿されてきた人物だが、物語の大半ではその出自を知らずに生きている。
燃えるような赤髪と美しい容貌を持つ青年で、繊細でどこか儚げに見える一方、剣士としての鍛錬も積んでいる。
人懐こく素直な性格で、仲間との絆を何より大切にする。
冒険者として経験を積みながら、ヴァルター、ティラドール、フィネガスらと出会い、やがて血盟を率いる立場へ成長していく。
本人に王としての自覚はないものの、その人柄と器量によって周囲から自然と慕われ、血盟員たちは次第に彼を自分たちの「王」のように感じるようになる。
彼自身の成長と、隠された血統が物語の大きな軸となる人物である。
ソルシエール=アシャンティ・クロンティリス
ソルシエールは、25歳の女性魔術師であり、4人の特級冒険者の一人である。
伝説的な大魔術師ベルトラムの弟子として幼少期から魔術を学び、卓越した実力を身につけている。
魔術師として非常に優秀であるだけでなく、魔族討伐や封印の強化など危険な任務にも積極的に携わる実戦派であり、後には大賢者へと至る。
幼い頃、先王の治世が崩壊する直前にベルトラムの弟子となってアヴァロンへ移り、そこで厳しい修行の日々を送った。
勝気で自尊心が高く、師匠であるベルトラムに対しても遠慮なく言い返すほど気が強い一方、その師を深く敬愛している。
イディオフィリアとは特に深い関係を築き、彼が何者であるかを知ったうえで、その正体を本人には伏せながら成長を見守っている。
血盟創設を促し、イディオフィリアを王子として相応しい人物へ育てようとする後見人の一人でもある。
また、兄イオニアスとの関係を通じて反オグミオス勢力とも深く関わる。
美貌と圧倒的な魔力、強い意志を持つ女性として、物語の中心人物たちを導く重要な存在である。
パーシヴァル=ヴェンツェル・フェーレンシルト
パーシヴァルは、28歳の人間の騎士であり、4人の特級冒険者の一人である。
名門フェーレンシルト家の出身で、家宝である聖剣カリバンを携える正統派の騎士として知られる。
何より重要なのは、彼が20年前に生まれた王子の傅役として選ばれ、生後わずか7日目の王子と対面していることである。
そのため、王子の名と顔を知る数少ない人物の一人であり、イディオフィリアと再会したときには、彼こそが自分の仕えるべき王子であることを早い段階で確信する。
もっとも、イディオフィリア自身は自分が何者なのか知らないため、パーシヴァルは正体を明かさず、先輩冒険者として接しながら彼を見守る。
忠誠心は非常に強く、イディオフィリアが選んだ道を悔いなく進めるよう、助言や後見を続けてきた。
周囲からは「傅役馬鹿」とからかわれるほどイディオフィリアを大切にしているが、単なる盲目的な忠誠ではなく、彼の人物そのものを見極めたうえで「この方こそ自分のただひとりの王」と認めている。
王子を守る騎士として、物語における忠誠と継承の象徴ともいえる人物である。
ミストフォロス=ゼルギウス・シェーラー
ミストフォロスは、200年以上を生きるエレティクスの剣士であり、フィアナでも名の知られた特別な冒険者の一人である。
長い年月を生きてきた熟練者でありながら、外見は20代半ばほどにしか見えない。
高い戦闘能力を持ち、二刀を操る剣士として魔族討伐など危険な任務に参加している。
また、反オグミオス勢力に属する血盟【フェンリル】の一員としても活動しており、冒険者としての顔だけではなく、反王勢力側の情報や人脈を持つ人物でもある。
イディオフィリアの出生については、先王との友誼を通じて王子の存在と名を知る数少ない人物の一人だった。
そのため、イディオフィリアがまだ自分の正体を知らない段階から、彼を守りながら状況を見極めている。
普段は軽口を叩いたり、パーシヴァルを「親馬鹿」ならぬ「傅役馬鹿」とからかったりするなど、飄々とした態度を見せる。
しかし重要な局面では鋭い判断を下し、王子の存在を狙う者たちの危険性についても真剣に警告する。
長い経験と人脈、戦闘力を備えた、仲間たちの頼れる年長者的存在である。
アルノルト=ローラント・エレット
アルノルトは、エルフ族出身の特別な冒険者であり、弓術と魔法を扱う実力者である。
長命なエルフ族に属し、次期エルフ族長という立場にもあるため、単なる一冒険者にとどまらない社会的な背景を持つ。
特級冒険者たちの中では冷静で思慮深い人物として描かれ、仲間たちの中でも比較的常識的な判断をする存在である。
イディオフィリアと出会った当初から、彼の言動や出自について注意深く観察しており、王族に対する礼儀を自然に示したイディオフィリアの姿から、その不思議な素性を感じ取る場面もある。
また、ソルシエール、ミストフォロス、パーシヴァルらとともに高難度の魔族討伐へ赴き、現役冒険者の中でも限られた者しか扱えない封じの呪の強化をソルシエールとともに担当するなど、戦闘と魔術の双方で高い能力を発揮する。
ベルトラムの弟子であるソルシエールとは長い付き合いがあり、その師であるベルトラムの破天荒な性格も知っている。
イディオフィリアが血盟を率いるようになった後は、彼を支える上位冒険者の一人として重要な役割を果たす。
ヴァルター・ヴァイス
ヴァルターは、イディオフィリアと行動を共にする若き冒険者であり、彼が最初期に得た親しい仲間の一人である。
外見上は特別目立った特徴のない、ごく普通の青年だが、イディオフィリアとは早い段階から意気投合し、まるで以前から長く付き合っていたかのような気安い関係を築いていく。
イディオフィリアがまだ自分の出生を知らず、ひとりの冒険者として活動していた頃から、その旅に同行し、数々の経験を共にする人物である。
ティラドール、フィネガスとともに【トリスケリオン】の中核を担い、後にはイディオフィリアの側近として彼を支える。
王子の正体については当初知らず、仲間内で「実はイディオ、王子だったりして」と冗談を口にする場面もあるが、それは皮肉にも真実を言い当てることになる。
血盟創設の際にはイディオフィリアに続いて名を連ね、彼と共に血盟を築いていく。
特別な家柄や伝説的な力を持つ人物ではないからこそ、普通の冒険者としてイディオフィリアと友情を育み、その成長を最も身近な場所で支える存在となっている。
ティラドール・ルーディエル
ティラドールは、イディオフィリアと行動を共にするエルフ族出身の若い冒険者である。
人間社会だけでは知ることのできないエルフ側の事情や、フィアナの歴史についての知識を持っており、仲間たちにとって重要な情報源となる。
特に、20年前の乱で死亡したとされる王子について、先王の旧臣やエルフ、エレティクスの間では生存を信じて探し続けている者がいることを語った場面は、物語の核心に関わる情報を仲間たちへもたらすものとなった。
イディオフィリア、ヴァルター、フィネガスとは非常に親しい関係にあり、4人で行動することも多い。
イディオフィリアが血盟を創設した際にはヴァルター、フィネガスとともに最初期の血盟員となり、彼を支える側近の一人となる。
エルフ族に生まれた者として王子探索という使命にも関わっており、単なる冒険者としての旅だけではなく、フィアナの過去と現在をつなぐ役割も担っている。
仲間との会話では比較的素直な反応を見せる一方、エルフとして得た知識を必要な場面で提示する、知識と情報の面で頼れる人物である。
フィネガス・マイスナー
フィネガスは、イディオフィリア、ヴァルター、ティラドールと行動を共にする冒険者で、琥珀の塔に関わる魔術師である。
4人の中では魔術や知識に関する分野を担う存在であり、仲間たちの会話の中でも歴史や魔術に関する疑問を提示するなど、物事を知識の面から捉える役割を持つ。
イディオフィリアの出生を知らない段階では、王子は20年前の乱ですでに死亡しているものだと考えており、ティラドールから王子生存説を聞いた際には驚きを見せるなど、物語の秘密を読者と同じ視点から知っていく人物でもある。
ヴァルターやティラドールとともにイディオフィリアと親しくなり、血盟【トリスケリオン】の創設時には最初期の仲間として名を連ねる。
その後もイディオフィリアの側近の一人として活動する。
大賢者ベルトラムに対しては強い尊敬と憧れを抱いており、実際のベルトラムが想像以上に自由奔放な人物であることを目の当たりにした際には大きな衝撃を受けている。
知識を重んじる魔術師としての側面と、仲間たちと行動する一人の若い冒険者としての側面を併せ持つ人物である。
イオニアス=ベネディクト・クロンティリス
イオニアスは、ソルシエールの兄であり、反オグミオス勢力の重要人物である。
表向きにはすでに死亡した人物として扱われているが、実際には「イオニアス・ベイオウルフ」の名を用い、反オグミオス血盟【自由の翼】を率いている。
その血盟は反王政府に対抗する組織の中でも過激な部類に属し、彼自身も第一級の指名手配を受けている。
冒険者組合を介した通常の連絡手段すら使えない立場にあり、反王勢力との戦いにおいて重要な役割を担う人物である。
妹ソルシエールとは深い家族関係にあり、彼女が信頼する人物としても物語に関わっていく。
外見については、母親譲りの女性的で優しげな顔立ちを持つ非常に秀麗な人物として描かれ、儚げな雰囲気から吟遊詩人にも見えるほどである。
穏やかで美しい外見とは対照的に、裏では反王勢力を率いる指導者として活動しており、その二面性が大きな特徴となっている。
イディオフィリアの正体を知る側の人物でもあり、王子の復帰と反王政打倒をめぐる戦いにおいて、彼の存在は政治的にも軍事的にも大きな意味を持つ。
ベルトラム
ベルトラムは、フィアナ大陸に三人しかいないとされる大賢者の中でも、伝説として知られる大魔術師であり、ソルシエールの師匠である。
正確な年齢は誰にも分からないが、ソルシエールが25歳になった現在から約二百年前にはすでに「伝説の大魔術師」と呼ばれていたため、少なくとも300歳を超えていると考えられている。
それほどの長命にもかかわらず外見は非常に若く、初対面のイディオフィリアたちを驚かせるほどである。
魔術師としての力量は桁外れで、極めて召喚が難しい高位魔族フラウロスを従え、さらに最高位の神獣である光竜ジルニトラとの召喚契約まで結んでいる。
ソルシエールには幼少期から魔術を教え、厳しい修行を課す一方、幼い彼女を優しく撫でて励ますなど、父親のような存在でもあった。
しかし本人の性格は世間が想像する厳格な大賢者像とは大きく異なり、口が悪く、弟子のソルシエールと平然と言い争い、時には魔族の召喚をわざと放置して騒ぎを楽しもうとするような茶目っ気まで見せる。
その圧倒的な魔力と、予想外に人間臭く自由奔放な性格との落差が、ベルトラムという人物の最大の魅力となっている。